控訴審も1回(たぶん)で結審されて棄却、上告も棄却。
同種の訴訟で、職員側の勝訴になってます。
弁護士の選び方の点では、弁護士の実績とか専門性を重視しないで、判決への所見と見積もりで選ぶというのがなんか嫌な感じです。
勝ちに行くのなら、公募するより、最初から詳しい弁護士を捜すべきだったと思います。それが専門訴訟における顧問弁護士の重要な仕事だと思います。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090925-00000093-jij-soci
酒気帯び運転で懲戒免職となった兵庫県加西市の元課長が処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は25日までに、市側の上告を棄却する決定をした。元課長の訴えを認めた一、二審判決が確定した。決定は18日付。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090925-00000982-yom-soci
飲酒運転で懲戒免職、最高裁が処分取り消し命令
中川暢三市長は「主張が認められず、残念。決定を重く受け止め、処分基準を見直したい」と話した。同市は06年9月、相次ぐ公務員の飲酒事故を受け、飲酒運転した職員は原則懲戒免職としていた。<<
http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009092501000905.html
今回の決定に対し中川暢三市長は「飲酒運転防止をはじめ、交通安全は国民の悲願。決定は、時代の要請や世間の感覚からずれている」とのコメントを出した。
http://www.city.kasai.hyogo.jp/04sise/11osir/osir0810/osir081023a.htm
控訴における代理弁護士の公募について
加西市は昨日、懲戒免職処分取消請求事件神戸地方裁判所判決(平成20年10月8日言渡し)を不服として控訴したところですが、当該控訴の代理人を担っていただける弁護士(法律事務所)を公募します。
募集期限:平成20年11月11日(火)まで
詳細につきまして次のPDFファイルをご覧ください。
職員の懲戒免職処分取消請求事件の控訴における代理弁護士の公募について(PDF形式 66KB)
平成20年(行ウ)第21号 懲戒免職処分取消請求事件 判決 (PDF形式 957KB)
控訴審判決はまだ公開されていませんが、一審で勝った弁護士と負けた弁護士は公開されていますので、一般の方はこういうのを参考にするといいと思います。同種事案には詳しいはずですから。
神戸地裁平成20年10月 8日
事件名 懲戒免職処分取消請求事件 〔加西市(職員・懲戒免職)事件・第一審〕
そこで,上記(1)の判断の枠組みに従って検討する。
(3) まず,本件処分は,地方公務員法29条1項3号の「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった」を非違行為と認定してされたものであるが,その非違行為というのは,原告が職務とは無関係に,休日に行った本件酒気帯び運転である。しかも,原告の呼気から検知されたアルコールの量は,道路交通法違反として処罰される最下限の水準(呼気1リットル中0.15ミリグラム)にすぎなかったのである。したがって,本件酒気帯び運転の非違行為の性質,態様,結果という点で,悪質さの程度がそれほど高いわけではない。
(4) 次に,非違行為の原因や動機についてみるに,原告は積極的に飲酒を要求したわけではなく,たまたま,知人の手伝いをしたことをきっかけとして,当該知人に勧められて飲酒したに過ぎないのであって,非違行為に至った原因や動機について,非難に値するとか,破廉恥な事情があったとまではいえない。
(5) 非違行為の影響という点についてみるに,本件酒気帯び運転によって公務への影響が生じたとはいえないし,本件酒気帯び運転により交通事故が起きて第三者に被害が生じたというわけてはなく,公務員への信頼という観点から地域社会に与えた悪影響も甚大とまではいえない。
また,原告は,本件酒気帯び運転の事実を翌日直ちに職場に報告しており,非違行為を隠蔽していないし,原告には前科前歴もなく過去に懲戒処分等の処分歴もないのであって,これらの事情は原告に有利に汲むべきものである。
(6) 仮に,原告と同様に前科前歴も懲戒処分歴もない加西市職員が「無免許運転又は著しい速度違反(50km以上)等悪質な交通法規違反をした」という場合,減給又は戒告という懲戒処分を受けるにとどまるはずであるが(本件指針),そうすると,本件酒気帯び運転によって原告が免職となるのは,いささか,非違行為と懲戒処分との均衡を欠くきらいがあるといわざるをえない。
(7) さて,昨今,飲酒運転に起因する悲惨な交通事故が少なからず発生しており,飲酒運転に対する刑事罰も強化され,社会全体の飲酒運転に対する非難の感情が高まっているところであり,このような社会情勢の下にあっては,社会全体の奉仕者である地方公務員が,より高い規範意識の下,厳に飲酒運転を慎まなければならないことは当然であり,焼肉店から原告宅までは徒歩で帰宅できるのに安易に飲酒運転に及んだ原告には,地方公務員としての自覚が足りないと厳しく叱責されねばならないし,本件酒気帯び運転を重大な非違行為と受け止め,これに厳罰をもって対処しようとした加西市長の判断は,良く理解できるところではある。
しかしながら,免職という懲戒処分は,公務員にとって著しい不名誉であるだけではなく,直ちに職を失って収入が閉ざされ,退職金さえ失うのであって,これによって被処分者が被る有形・無形の損害は甚大である。特に,原告のように38年間も加西市職員として勤務し,退職が間近に迫っていた職員にとっては,なおさらそうである。
そのことに鑑みると,上記(3)ないし(6)で検討したところからすれば,本件処分は,やはり,社会通念上著しく妥当を欠いて苛酷であり,裁量権を濫用したと行われたものと評価すべきであり,したがって,本件処分は公正原則に抵触する違法なものというべきである。
第6 結論
よって,本件処分は違法としてこれを取り消されなければならず,本件請求は理由があるからこれを認容することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 橋詰均 裁判官 山本正道 裁判官 澤田博之)