児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ致傷罪は裁判員対象事件です。

 死亡していなくても無期懲役になるという法定刑なので、裁判員裁判になります。
 でも、法定刑の下限では執行猶予も一応可能になっています。

刑法
第181条(強制わいせつ等致死傷)
1 第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
第2条(対象事件及び合議体の構成)
1 地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第二十六条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
一 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二 裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)

 手持ちの資料を強制わいせつ&傷害で検索すると(強姦も入ってきますが)、罪数とか程度に応じて、無期〜執行猶予と分布しています。

懲役13年
懲役18年
懲役10年実刑
懲役18年
懲役4年06月
懲役7年
懲役20年ナイフ
懲役24年
懲役5年
懲役17年
懲役12年
懲役14年
懲役6年
懲役16年
懲役12年
懲役12年
懲役11年
懲役17年
懲役16年
懲役13年
懲役12年
懲役15年没収没収 ナイフ
懲役9年実刑
懲役4年06月
懲役5年06月実刑
懲役11年
懲役5年実刑
懲役9年実刑
懲役18年
懲役19年
懲役14年
懲役3年執行猶予4年保護観察
無期懲役ナイフ
懲役12年
懲役3年執行猶予5年
懲役3年06月未決540
懲役17年
懲役3年執行猶予4年
懲役7年
懲役8年
懲役20年
懲役8年実刑60
懲役3年実刑110
懲役3年執行猶予4年
懲役3年06月実刑30
懲役3年執行猶予5年保護観察
懲役3年執行猶予5年保護観察
懲役3年実刑60

 執行猶予事案の態様は

  • 通行中の20歳 みとめ劣情 歩道上で腕をつかんで公園まで連行し、トイレ内で、乳首嘗める・指挿入するなどの強制わいせつ罪+加療7日間膣壁外傷
  • 通行中28歳 抱きつく暴行加え、 下着の上から陰部弄ぶ強制わいせつ行為+転倒させて全治10日の傷害
  • 路上 歩行中18歳 背後から抱きついて口ふさぐ暴行、殺すぞと脅迫し強制わいせつしようとしたが手をかまれて抵抗され強制わいせつ未遂・その際加療7日の口唇裂傷

という程度で、
  計画性がないこと
  傷害の程度も比較的軽いこと
  共犯事件ではないこと
が共通点です。
 示談ができれば執行猶予の可能性が出てくるという感じです。

 裁判員裁判で、こういう量刑相場がどう変わるのかを追いかけます。