児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ、プロバイダーは強制遮断を…警察庁が協議会

 論点としては
  全部のアクセスの接続先をチェックすることによる通信の秘密の侵害
  オーバーブロッキングによる表現の自由の侵害
ですかね。
 児童ポルノの閲覧が犯罪化されてないのに、ネットにアクセスした全員が民間人に「児童ポルノ閲覧するんですか?」って職務質問されるみたいですね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090531-00000850-yom-soci
児童ポルノ、プロバイダーは強制遮断を…警察庁が協議会
6月1日3時13分配信 読売新聞
 ネット上にあふれる児童ポルノ対策として、警察庁は、ネット利用者が違法なサイトを見ようとしても接続できなくする「ブロッキング」制度を民間のプロバイダー(接続業者)が自主的に運用できるよう、6月2日にプロバイダーなどと協議会を発足させる。
 違法サイトの画像がネット利用者に次々にコピーされ、他のサイトに転載される現状に歯止めをかけるのが狙い。来年度にも官民共同で実証実験を始め、技術的な課題などを検討する。法整備の遅れから、児童ポルノ対策の「後進国」と国際的に批判されている汚名を返上できるか注目される。

児童ポルノの取得行為については、違法だがそれほど悪くないという判例がいくつかあって、ブロッキングのネックになります。


追記
 最近こういう論文がありました。

高橋郁夫 林紘一郎 舟橋信 吉田一雄「通信の秘密の数奇な運命(制定法) 情報ネットワークローレビュー第8巻P1〜
(6)そのような広い解釈をもとに、ネットワーク通信に関与する電気通信事業者の行動の可否が考えられており、解釈の肥大化と解釈のネットワーク通信への適用が不明なことがあいまって電気通信事業者等における公共目的からする管理行為等についての萎縮効果を来している現状にある。
特に上記の(6)の懸念を解消することが必用であり、その立場から、以下の提言をなすことができる。
電気通信事業者等の行為に関して、電気通信事業者における「積極的な取得」および「窃用」概念の意義が明確にわかるようにかかる二つの概念についての定義を明確にするとともに、電気通信事業者等の行動規範が明確になされるべきである。

 全アクセスの接続先(サイト・URL)をチェックするというので、通信の秘密の関係で、電気通信事業法の改正が必要な感じです。

http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20090602-501982.html
児童ポルノを掲載するインターネットサイトへの監視を強めるため、インターネット協会など民間団体や有識者らが参加する「児童ポルノ流通防止協議会」が2日、発足した。有害なサイトへの接続を遮断する「ブロッキング」技術を検証、法的課題に取り組む。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/06/02/23642.html
児童ポルノ流通防止協議会では、児童ポルノに関する情報をリスト化し、対策実施者へ提供する「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体(仮称)」の設置を検討する。また、ISP側の対策を実現するために必要な技術的・法的課題も整理する。