児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

《司法新時代》被害者参加で懲役4年(秋田地裁H21.3.27)

 被害者の代理人は強姦既遂1罪・示談未了で執行猶予があると思ってるようですが、宥恕もしてないのだから杞憂だと思いますね。
 被害者個人にとってはこれ以上ない苦痛を受けたわけで他の事例と比較する必要はないから、量刑相場を考慮せず、躊躇せず法定刑の上限を求めていいと思います。それが被害者参加弁護士の仕事です。普通の弁護士は量刑相場も知らないしわからないわけですから、遠慮する必要はない。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20090328-OYT8T00190.htm
被害者の弁護人を務め、前回公判で被害者の意見書を代読した武田龍生弁護士は判決後、「もう少し軽い刑も予想されたが、被害者の声を重く受け止めてくれた。裁判官の前で述べられた被害者の感情が適切に評価された」と語った。
 公判では、担当裁判官が被害者の損害賠償請求も審理する「損害賠償命令制度」も適用され、判決後、その手続きが始まった。一般の民事裁判よりも早く審理が進む見通し。被告は損害賠償金の内金として110万円を支払っている。
 判決によると、被告は昨年11月、秋田市内の商業施設の駐車場で、探偵を装って20歳代の女性を脅した後、女性の車に乗り込んで河川敷まで移動させ、車内で乱暴した。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090327/trl0903271625012-n1.htm
被害者の女性は公判には出廷せず、代理人の弁護士が公判で「求刑通りの実刑を望む」とする女性の陳述書を朗読。再発防止に向け、被告が専門的治療を受けることも求めていた。
 弁護士によると、女性は「つらい思いを数字に換算できない」と具体的な量刑は求めなかった。被告の弁護側は執行猶予付きの判決を求めていた。

http://www.kahoku.co.jp/news/2009/03/20090328t43020.htm
「処罰感情考慮すべきだ」 強姦被害者側が公判参加
 刑事裁判への「被害者参加制度」適用が東北で初めて公表された強姦(ごうかん)事件の判決公判で、秋田地裁は27日、強姦罪に問われた被告(48)に懲役4年(求刑懲役5年)を言い渡した。
 馬場純夫裁判長は「犯行は悪質。現在も苦しみ続ける被害者の処罰感情は十分に考慮すべきだ」と指摘。一方で、損害賠償の一部に応じていることなどから酌量した。
 公判では被害女性の代理人の武田竜生弁護士が、厳罰を求める女性の意見陳述書を読み上げた。武田弁護士は「執行猶予の可能性もあると考えていたが、判決は裁判官に被害者の感情を適切に評価してもらった結果」と述べた。
 検察側に控訴を要望するかは今後、女性と検討するという。被告が有罪になった場合、同じ裁判官が公判記録を基に賠償額を決める損害賠償命令制度も申し立てている。

第177条(強姦)
暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
第12条(懲役)
懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
2 懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。

 強姦既遂の執行猶予は珍しいですよ。

強姦既遂1罪 執行猶予
大阪 地裁 懲役3年 執行猶予5年
大阪 地裁 懲役3年 執行猶予5年 保護観察
長崎 地裁 懲役3年 執行猶予5年 保護観察
岡山 地裁 懲役3年 執行猶予4年
和歌山 地裁 懲役3年 執行猶予5年
大阪 地裁 懲役3年 執行猶予5年
大阪 地裁 懲役3年 執行猶予5年 保護観察
長崎 地裁 懲役3年 執行猶予5年 保護観察
奈良 地裁 葛城 懲役2年 06月 執行猶予3年
奈良 地裁 葛城 懲役3年 執行猶予4年 保護観察
奈良 地裁 葛城 懲役2年 執行猶予3年
奈良 地裁 懲役3年 執行猶予5年 保護観察
奈良 地裁 懲役3年 執行猶予4年
奈良 地裁 懲役3年 執行猶予4年
名古屋 地裁 懲役3年 執行猶予4年
千葉 地裁 木更津 懲役3年 執行猶予5年
大阪 地裁 堺 懲役3年 執行猶予4年
大阪 地裁 懲役3年 執行猶予5年 保護観察

これらの量刑理由をみると、それなりの理由がないと執行猶予にはなりません

示談宥恕 150万円 
出会い系で援助交際に応じるという被害者にも落ち度がある
出会い系サイトで知り合った被害者
示談宥恕200万円
示談宥恕500万円
示談宥恕50万円
深夜路上でカラオケに誘われた被害者にも落ち度がある
被害者に軽率な行動があった
慰謝料300万円で示談
示談成立
主犯ではない
被害者にも出会い系で知り合った男性らと深夜行動するという落ち度
示談金30万
コンパでの偶発的犯行
200万円で示談 減軽嘆願書
示談200万円
示談成立 500万円 宥恕
深夜帯に、親に無断で外出して出会い系で知り合った見知らぬ男の車に乗った点には落ち度がある
300万円で調停で示談
深夜被告人宅に赴き飲酒したという軽率な点
示談 宥恕 嘆願書 
告訴取り下げる意向 親告罪である以上もっとも重視せざるを得ない

 内金支払ったくらいでは、執行猶予にならないんです。こういう情状を主張・立証しないと。