児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童に姿態をとらせることは,児童ポルノの作成そのものではなく、3項製造罪の実行行為には当たらないと解すべきである(大阪地裁H20.12.24)

 大阪地裁がこういうので、仙台高裁事件でそう主張したのですが、検事さんは「論旨は理由がない」って答弁してはりましたよ。仙台高裁は実行行為だっていいそうです。

大阪地裁H20.12.24
平成 20年 12月 24日
(弁護人の主張に対する判断)
弁護人は,・・・②判示第 1ないし第 3の各児童買春罪と各 3項製造罪は観念的競合の関係にある旨主張するので,以下検討する。
・・・
次に,②の点について,弁護人は,児童に本件姿態をとらせることは 3項製造罪の実行行為であると主張するが,児童に本件姿態をとらせることは,児童ポルノの作成そのものではなく ,3項製造罪の実行行為には当たらないと解すべきである。
したがって,児童買春行為自体は 3項製造罪の実行行為には当たらないから,児童買春罪と 3項製造罪はその実行行為が部分的にも重なり合う関係にはない。
 また,児童に対し,性交等 (法 2条 2項)の行為をする場面を撮影する場合には,両罪に該当する行為が同時的に存在しているが,児童買春の機会に児童ポルノが製造されることが通常であるとはいえない上,両者の行為の性質が異なることにも照らすと,自然的観察の下で,行為者の動態が社会的見解上 1個のものと評価することもできない。したがって,判示第 1ないし第 3の各児童買春罪と各 3項製造罪はそれぞれ併合罪の関係に立つと解すべきである