児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

犯罪収益取得事実仮装罪と前提犯罪の成否、前提犯罪との前後関係(大阪高裁h20.4.17)

 前提犯罪が既遂になることは要件になるけれども、時系列的に先行する必要はないという判断です。
 「前提」というからおかしいんですよね。

阪高裁h20.4.17
所論は、原判決は、原判示第3の犯罪収益取得事実仮装罪の成立を認めて追徴しているが、「犯罪収益」中の「犯罪行為により得た財産」というためには、当該犯罪行為が当該財産取得行為に先行していなければならないことは明らかであるところ、同判示の児童ポルノは、代金前払いで提供されたものであり、代金入金の時点においては、いまだ同児童ポルノの提供に着手されていないから、同判示の入金は「犯罪収益」に該当せず、犯罪収益取得事実仮装罪は成立せず、これを追徴するのは憲法29条1項に達反する、というのである。
 しかしながら、前記の立法趣旨や、通常想定される本罪関係の取引形態等に照らして合目的的に考察すると、「犯罪行為により得た財産」は、当該犯罪行為が成立する場合において、その構成要件に該当する行為自体と結び付いて犯人が取得した財産をいい、当該犯罪行為の成立時期と当該財産を得た時期との前後関係を問わないものと解すべきであるから、所論指摘の児童ポルノ提供の前払い代金も、後の機会に当該児童ポルノ提供罪が成立する限り、「犯罪行為により得た財産」として、「犯罪収益」に該当し、これを取得したことを仮装すれば、犯罪収益取得事実仮装罪が成立するというべきであり、そのような犯罪収益を追徴することが憲法29条1項に違反しないことも明らかである。