仮に児童淫行罪と児童ポルノ製造罪がかすがいで科刑上一罪になる場合(奥村は併合罪説ですが)、児童淫行罪を家裁、製造罪を地裁に起訴すると、
1 二重起訴になって、後の起訴は無効になる
2 児童淫行罪の方が重いから全体が家裁管轄になって(少年法37条2項)、地裁は管轄違になる
3 どちらかの判決が先に確定すると、後の事件は、一事不再理で免訴になる
という重大な手続瑕疵が出てきます。
かすがい部分を除いて起訴しても、公訴事実は同一だから結論は同じ。
量刑以前の問題だから、なんぼ原田國男さんでも、それを量刑の問題で解決できないと思うのです。
しかも、起訴検察官はかすがいになることを知らないで家裁と地裁にわけて起訴しているし、控訴審で、家裁事件も地裁事件も両方破棄減軽しているのに、その方が被告人に有利だなんて言えるのかな?
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川出敏裕「いわゆる「かすがい」理論」(刑法判例百選Ⅰ第6版P213)
判例にも,かすがい作用により実体法上は科刑上一罪の関係にある,児童ポルノ製造罪と児童淫行罪につき,検察官が,かすがいとなる部分の罪を除外して併合罪として起訴した事案につき,それが,実際の量刑においては,被告人にとって一般的に有利であることを指摘したうえで,検察官の措置を適法としたものがある。(東京高判H17.12.26)