児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ+撮影の事案

 こういう人にとっては、姿態とらせる行為も撮影行為も性的傾向の発現であって、「わいせつ行為」そのものですから、製造罪は観念的競合ですよね。
 3項製造罪(姿態とらせて製造)の社会的法益(大阪地裁)を強調すれば、包括一罪になりそうなので、製造罪でかすがい(串刺し一罪)して、科刑上一罪にならないかと考えています。
 まあ、裁判所もわからない問題なので、不用意にそう主張すると、条件反射的に反対の結論になってしまいますが、裁判例をつなぎ合わせれば、言えますよ。
 特に、札幌高裁は児童淫行罪と製造罪について観念的競合説ですから。

児童わいせつ:別に6件容疑 37歳被告、追送検
2007.08.17 毎日新聞社
 調べでは、容疑者は02年8月〜06年5月ごろ、同市や後志管内倶知安町の計6カ所の公園トイレで4〜8歳の男児と女児計9人の下半身を触るなどのわいせつな行為をした疑い。「健康診断をしてあげる」などと言ってトイレに連れ込んでいた。「子供が好きで、過去5年に数十件やった」と供述しているという。
 デジタルカメラで撮影した児童の裸の写真が自宅から100点以上見つかり、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)容疑でも追送検する方針。

 大阪の条例の関係では、「裸にして陰部等の写真を撮る行為」は、「わいせつ行為」と評価されます。

大阪府青少年健全育成条例
Http://www.pref.osaka.jp/Houbun/reiki/reiki_Honbun/k2010487001.Html
(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第二十八条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

http://www.police.pref.osaka.jp/01sogo/law/images/seian/seian_540123600074.pdf
大阪府青少年健全育成条例の運用について
昭和60年12月26日
例規(少)第74 号
最近改正平成10 年6月19 日例規(総)第34 号
11 みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止(第23 条関係)
(4) 「わいせつな行為」とは、性器に対して指で触れる行為、女性の乳房をもてあそぶ行為、裸にして陰部等の写真を撮る行為、人前で全裸にしたり陰部を露出せしめる行為等いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、露骨な表現によつて、健全な常識のある一般人に対し、性的にしゆう恥嫌悪の情を起こさせる行為等をいう。

だとすれば、わいせつ行為と姿態とらせて撮影する行為とは社会見解上一個と評価される。