児童ポルノ法の場合は、レンタルでも「提供罪」「提供目的所持罪」を用意していますが(旧法では有償貸与罪)、刑法にはありません。
はっきりいう判例もないと思うんですが、販売=有償の所有権移転なので、「販売」にはならないらしい。奥村は「頒布」=無償譲渡と習いましたが。
頒布なら頒布目的所持罪で処罰できません。
媒体が安いしダビングできるので、販売と頒布の差もないんですけどね。
実態に法律が追いついていない一面です。だましだましやっている。
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_08/t2007080812.html
わいせつDVDで親子逮捕…福井、約8000点押収
福井署が押収したわいせつDVD=7日午後
福井署は七日までに、わいせつなDVDなどを貸し出したとして、わいせつ物頒布の疑いで、ビデオレンタル店経営の男(64)=福井市花堂中=と長男で店長(38)=同市二の宮=を逮捕し、わいせつなDVDやビデオなど約8000点を押収した。
従来、営利性がないと説明されていたのですが、きょうび、営業犯だから、数回の頒布罪の罪数処理も包括一罪ですかね?
まあ、何罪かとか罪数とかわからなくても、逮捕されたからには頭下げておけば、裁判所が法令適用わからなくても、懲役1年執行猶予3年くらいになります。
追記
参考情報です。
大阪高等裁判所平成15年9月18日
児童買春児童ポルノ禁止法7条の児童ポルノ販売,頒布罪における販売ないしは頒布は,不特定又は多数の人に対する有償の所有権の移転を伴う譲渡行為ないしそれ以外の方法による交付行為をいうものであるところ,本件において,上記B,C及びDは,それぞれ,被告人から教示されたホームページアドレス等を自己のパーソナルコンピューターにおいて入力することにより,被告人が開設した上記会社管理のサーバーコンピューター内のホームページにアクセスし,同サーバーコンピューターのディスクアレイに記憶,蔵置された本件の画像データをそれぞれ自己のパーソナルコンピューターにダウンロードし,ハードディスクないしはフロッピーディスクにその画像データを記憶,蔵置させて画像データを入手していることが認められるが,上記サーバーコンピューターのディスクアレイ上に記憶,蔵置された画像データそのものは上記Bらのダウンロードによってもその電磁的記録としては何らの変化は生じていないのであり,画像データの入手者であるBらに上記サーバーコンピューターに記憶,蔵置された電磁的記録そのものの占有支配が移転したと見る余地もなく,この点で原判示第2に認定された事実のもとでは児童ポルノの販売に該当する事実もないというべきである。
条解刑法
4)頒布
頒布とは,不特定又は多数の人に対して無償で交付・譲渡することをいうとするのが,判例であり(大判大15・3・5),通説でもあるが,賃貸行為が「販売」にもll「頒布」にも含まれず,不可罰になるのは不合理であるということから、販売以外の方法で不特定又は多数の人に交付することをいうとする見解が有力になってきている。
裁判例コンメンタールⅡ(池本判事)
4 頒布
有償、無償を問わず、不定多数人に交付することをいう。
5 販売
不定又は多数人に対する有償的譲渡行為をいう
9 罪数
罪賀上反復・継続する多数の行為を予想しているから(集合罪)、同一の意思の下に行われる限りにおいては、数個の行為でも包括-罪である(通説判例、福岡高判昭27・2・15 高刑集5・212 4 9)。販売と販売目的所持とは包括一罪であり、販売罪のみが成立する(最判昭40・12・23 裁判集15714 95)。したがって、ビデオショップでのわいせつビデオテープの販売、レンタル、店内陳列及び倉庫内ストックが全て起訴されても販売罪一罪で処理される。