児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童に対する性犯罪の厳罰化の動き

 児童買春の相手が13なら罰金、12なら実刑というのも均して欲しいところです。 
 特別法とか条例とかに分散している構成要件を整理する必要があるでしょうね。児童淫行罪の管轄も。

166 - 参 - 予算委員会 - 5号 平成19年03月07日
坂本由紀子君 子育て支援の中でも、こういう子供たちに対する支援、また児童虐待の場合には親御さんに対する指導等、最も重要な課題ではないかと思われますので、今後ともしっかりお取り組みをいただきたいと存じます。
 次に、少子化の中で子供たちが被害者となる犯罪が後を絶たないという大変悲しむべき状況にあります。特に、性犯罪についてもかなりの数発生をしております。この点で、こういう犯罪を犯した人に対する矯正が重要だと思うのですが、どのような対策が取られているんでしょうか。
国務大臣長勢甚遠君) 今、法務省としてはあらゆる面で再犯防止ということに全力を挙げておるわけでございますが、特に子供を対象とした性犯罪についてはこの再犯を防止するということが極めて大切な問題だと思っております。
 こういう問題については、従来から特別の処遇類型をして指導してきておったわけでありますが、特に平成十六年十一月に奈良で発生をいたしました女児誘拐殺害事件、こういうものが大変世間の関心を集めたわけでありますが、これを契機としまして、平成十七年四月に精神医学、心理学等の専門家を構成員とする性犯罪者処遇プログラム研究会を立ち上げまして、その検討を基に性犯罪者処遇プログラムを策定をいたしました。このプログラムはカナダ、イギリス等の諸外国で実施されておりまして、性犯罪者の再犯防止に効果を上げているというふうに言われておるものをモデルとしたものでございます。
 今年度からこれを実施に移しておるわけでありまして、刑事施設においては、つまり刑務所においては、川越少年刑務所、奈良少年刑務所を推進基幹施設として全国二十の刑務所に対象者を収容して実施をしております。現在二百四十二人がその対象になっております。また、仮釈放になった者、また保護観察付執行猶予者というものについては全国の保護観察所でこの性犯罪者処遇プログラムを実施をしておるわけで、現在その対象者は二百五十七人という状況でございます。
坂本由紀子君 今大臣がおっしゃった仮釈放者については、諸外国ではかなり厳しい再犯防止のための対策が取られていると聞いております。例えばGPSでフォローするというような話もありますが、日本でもそのようなより確実な方策を検討してもいいのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか
国務大臣長勢甚遠君) 諸外国の一部では、仮釈放中の者に対してGPSによる電子監視制度が導入されておるというふうに承知をいたしております。
 これについてはどうするかということが議論になっているわけでございますが、具体的にどのような監視を想定をするかによっては、まあ一概に言えない面もありますけれども、プライバシー等を制約する度合いが高いものともなることが考えられますし、また、仮釈放者の社会復帰に向けた努力を阻害するおそれはないかとか、本人の意思に基づく改善更生を助けるという我が国の更生保護の理念に適合するかどうかということなど、いろいろ検討すべき点も多いんではないかと考えられております。
 昨年六月に更生保護の在り方に関する有識者会議でもこういうことが話題になりましたけれども、やはり慎重な意見も多くありまして見送りと、提言に盛り込むことは見送りということになった経過でございますが、諸外国の例も参考にしながら引き続き慎重に検討してまいりたいと考えております。

坂本由紀子君 日本では、財産罪と性犯罪についての比重がちょっと私たちの感覚から違っているのではないかと思うのであります。
 今日、法務省の刑事局長おいでだと思いますが、強盗と強姦について刑法がどういうふうに規定をしているのか、ちょっとお述べいただけますでしょうか。

○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。
 特に強盗罪と強姦罪の比較におきましては、強盗罪の下限が五年とされておりますのに対しまして強姦罪の下限が三年とされている点が従来から問題として指摘されているところでございます。
 ただ、平成十六年の刑法改正におきまして強姦罪等の法定刑がそれぞれ見直されておりまして、例えば強姦罪につきましては現在では三年以上二十年以下の懲役、それから強姦致死傷罪については無期、有期の場合には五年以上二十年以下の範囲内でやるということでございます。ちなみに、強盗致傷罪につきましては同じく無期、それから六年以上二十年以下の懲役ということでございますので、こちらについては長期については同じということになっております。
 また、平成十六年の法改正におきまして集団強姦罪というものが設けられまして、こちらにつきましては四年以上二十年以下の懲役、そしてそれが死傷の結果を生じさせました場合には無期、そして六年以上又は二十年以下の懲役と、こういうような刑が新設されたというところでございます。

坂本由紀子君 夜道で暴漢に襲われたときに財布を出すか体を取られるかといったら、女性は間違いなく財布を出すと思います。財布を取った方の犯人が重くて、女性たちにとってはより屈辱であるところの体を奪った犯人の方が軽いというのは、何とも国民感情からすれば納得できないところではないかと思うんですが、法務大臣、この点についてはいかがお考えでしょうか。

国務大臣長勢甚遠君) 先生の御指摘も誠にごもっともな点があろうかと思います。そういうこともあって、平成十六年に、今刑事局長から御説明いたしましたように、当時二年であった強姦罪の下限を三年に引き上げると、また、新たに集団強姦罪とか集団強姦致死傷罪というものを新設するというようなことが行ったところでございます。
 しかし、今御指摘のように、なお法定刑の下限について問題があるではないかという御指摘は今おっしゃったとおりでございます。いろいろ、強盗罪との比較において、刑法理論上はいろんな観点からの、こんな問題はないかというような御議論が専門家の間ではあるわけではございますが、しかし、実際上の科刑においては、上限は上限、下限は下限としてそれなりの処罰が可能であろうとは思いますけれども、いろんな議論はあるところではありますけれども、国会審議の際の附帯決議でも、こういう性的自由の侵害に係る罰則の在り方については更に検討すべしという附帯決議もなされているところでありますので、また各方面の御議論を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
坂本由紀子君 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。
 厳罰化というのは犯罪抑止に非常に効果があると思いますので、そういう意味で、特に子供に対する性犯罪、児童ポルノの排除も含めて、これはとりわけ大事なことではないかと思います。先般も大阪地裁で出た判決だったと思いますが、子供は抵抗しないから襲いやすかったというようなことで、何とそのいたいけな子供を十五人も魔の手に掛けたというような男性が問題になっておりましたが、こういうことについては特に加重にするということがあるのではないか。フランスでは、十五歳未満の児童に対する強姦等については刑の加重規定が設けられているということも聞きます。
 是非、この点についても含め、子供についての犯罪抑止について特に積極的なお取組をお願いしたいと存じます。
国務大臣長勢甚遠君) この性的犯罪についての十六年の改正の経過等々は今申し上げたとおりでございますが、特に子供に対してはどうだという御質問でございます。
 現在もこの強姦罪等については、子供については特に暴行、脅迫を要件としないなど、その特性にかんがみた配慮も享受されているところではありますけれども、昨今、社会情勢が変わったせいか、とんでもない事件がたくさん頻発していることは事実でございます。どうも刑法理論等からいろんな慎重な御意見もたくさんあるところではございますけれども、今後とも社会事情、あるいは国民の意識がどうなっていくかということも見極めながら検討はしていかなきゃならぬ問題だろうと思っております。