児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

二重起訴(刑訴法338条3号)の判断基準は「公訴事実の同一性」ですよね。

 通説だと思うんですが、それが通用しない。
 訴因基準で判断するという判決(大阪高裁・東京高裁)をいただいています。

第338条〔公訴棄却の判決〕
左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。
一 被告人に対して裁判権を有しないとき。
二 第三百四十条〔公訴取消し後の再起訴〕の規定に違反して公訴が提起されたとき。
三 公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。
四 公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。

 二重処罰予防という趣旨なんですが、大阪地裁に、同じ被告人について全く同一訴因(例えば「1/7 11:00 a宅 窃盗」)を2回起訴するというのは考えられない。そこまでバカな検察官もいないし、被告人も気づきますよね。同一公訴事実で別訴因の場合に効いてくる規定。例えば、
  大阪地裁「1/7 11:00 a宅 窃盗」
  大阪地裁「1/7 09:00 a宅 住居侵入」
というときに、後の起訴は338条3号で公訴棄却。

 しかし、338条3号は(国法上の)「同一裁判所」への起訴を禁止するだけで、別個の裁判所への起訴自体を規制する規定は見あたりません。甲地裁と乙地裁、甲地裁と甲家裁とか。
 一方が先に確定してから、一事不再理効(337条1項)で解決しろというんでしょうか?
 起訴が禁止されているんなら、実体審理も禁止されていると考えるのが当然なのに、そこは規定がない。