児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

コレクションであって提供目的ではないという主張(さいたま地裁)

 1個のHDDに1000枚児童ポルノ画像があって、1番〜20番は提供したが、21番〜1000番は秘蔵していたということもあるのだから、実際に提供しているのに、提供目的所持を否認するというのも理論的には可能です。
 しかし、判例児童ポルノ有体物説によれば、そのHDDの一部画像(1〜20)を提供する目的があれば、HDD全体について提供目的が肯定されます。1画像FDDなら別々に考えてくれるんですけど。

 もう一段の主張を考えるとすれば

  • 特定少数へ提供する目的であった
  • HDD自体を提供するのではない(ダビングして提供する)から、提供目的に当たらない
  • 所持と提供は包括一罪

というのもありですね。
 児童ポルノ罪は対立利益が少ないので何でも有罪になりますけど。判例も公開されないし。

「女児愛好団」被告、懲役1年6月求刑 さいたま地裁公判=埼玉2006.12.23 読売新聞社
インターネットで知り合い、女児のわいせつ画像を交換していた「女児愛好団」が摘発された事件で、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供、提供目的所持)の罪に問われた被告(30)の論告求刑公判が22日、さいたま地裁(吉川昌寛裁判官)であった。検察側は「児童の人権を無視し、児童を対象にした犯罪行為を助長する極めて悪質な行為」として、懲役1年6月を求刑した。
被告は「(児童ポルノ画像は)自分のコレクションとして持っていた」と述べ、提供目的所持にはあたらないと主張した。