児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

大久保仁視「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が、当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させた場合に、同法7条3項の児童ポルノ製造罪が成立するか」警察公論第61巻第12号 '06.12.

弁護人から一言。
最後の方は歯切れが悪いですね。
 いっそ、単純な複製行為も処罰対象にすべきだと声を上げた方がいいんじゃないですか?
 児童ポルノが増えるんだし、児童ポルノ持ってる人しか困らないでしょ。

(3)ところで,本決定がこのように解する理由については,判決の中で必ずしも明確にされていないが,本掛こ当たる第2次以降の製造行為なのか,それとも処罰対象から除外される「複製」なのかの判断は,結局のところ,当該行為が本罪の実行行為に該当するかどうか,すなわち,当該行為が「児童に姿態をとらせて描写することで児童ポルノを製造する」行為と言えるかどうかによることとなろう。
そして,その判断に際しては,児童ポルノの単純所持が処罰されないこととの均衡や,単純な「複製」を処罰から除外しようとする趣旨に鑑み,例えば,①第1次製造行為の性質(第2次以降の製造行為を予定するもの,かどうか等),②第2次以降の製造行為の態様,③第2次以降の製造物の性質④第1次製造行為と第2次以降の製造行為の関連性(行為者の主観,時間・場所の間隔等)等の観点から多角的・総合的に判断することとなろうが,いずれにしても,本件は,第1次製造行為が比校的容量が少なく一時的な記録媒体として使用されることの多いメモリースティックへの描写であって,多くの場合はハードディスクへの画像データコピー等の第2次製造行為が予定されていること,ハードディスクへのコピーは劣化を伴わないこと,ハードディスクに保存された画像データは更なるコピーが容易であり,なお流通の危険が高いこと,被告人は第1次製造行為の当初から第2次製造行為を行うつもりであったこと,第1次製造行為と第2次製造行為とは同じ日に行われたこと等の事情からすれば,当該ハードディスクへの画像データのコピーが本罪の実行行為に該当することは明らかと言えよう。
おわりに
今後も「児童に姿態をとらせた者」による第2次製造行為が問題となることが数多く起こり得るため,本決定の先例的価値は大きいと思われる。ただ,個々の事例において当該第2次以降の製造行為が本罪の実行行為に当たるかどうかについては,多角的に検討を行った上で慎重に判断する必要があると思われる。