児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

サイバー犯罪に「おとり捜査」=児童ポルノ、偽ブランド、ID対象−警察庁

 欧米風ですね。
 警察庁の号令がなくても県警レベルではやってますから、驚くほどの方針変換はありません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061026-00000030-jij-soci
 警察庁は26日、インターネット上で違法に販売されている児童ポルノ画像や偽ブランド品などについて、警察官が客を装って買い取り、検挙に結び付けるおとり捜査の手法を積極的に推進する方針を決めた。検挙した際は捜査の経緯も公表し、同種犯罪の抑止を目指す。27日の全国会議で各都道府県警に指示する。
 対象となるのは、DVDなどで販売されるわいせつ画像や児童ポルノ海賊版コンピューターソフト、偽ブランド品、ネットオークションのIDやパスワードなど。
 警察官が身分を隠してネット上で購入。違法かどうかを確認し、家宅捜索や検挙につなげる。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061026-00000051-mai-soci
 こうした犯罪の検挙には不法なわいせつ物などを入手する必要があり、警察官らが身分を隠したままわいせつ物などを購入する捜査手法がとられる。今年7月には石川県警がサイバーパトロールでわいせつDVDを販売するホームページを発見し、警察官が身分を隠してDVDを購入したうえで、容疑者5人を特定し逮捕した。
 おとり捜査をめぐっては、麻薬取締官が麻薬取締法で捜査段階での譲り受けが認められているが、警察官には明文規定はない。同庁は「警察官の買い取りが犯罪を誘発させるわけでなく、適法な捜査にあたる」と話している。

福岡高等裁判所那覇支部平成17年3月1日
3控訴趣意中児童買春法の憲法14条違反の主張について
所論は要するに,児童ポルノ販売罪は,買主との必要的共犯・対向犯であって,買主の買い受け行為の法益侵害,違法性は可罰的,当罰的であるにもかかわらず,売主のみを処罰するのは,法の下の平等憲法14条)に違反するから,児童買春法の児童ポルノ販売罪の規定は違憲,無効であり,同規定を適用して被告人を有罪とした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというにある。
しかし,買主の買い受け行為にも法益侵害,違法性があるとはいえるが,売主の販売行為の違法性,法益侵害性が強度の可罰性,当罰性を有するのと比較して,前者の法益侵害,違法性の可罰性,当罰性は微弱であるから,販売行為のみを処罰の対象とし,買い受け行為を処罰の対象としないことが憲法14条に定める法の下の平等に反しないことは明らかである。論旨は理由がない。

9違法法収集証拠の主張について
所論は要するに,警察庁は「児童ポルノ画像自動検索システム」という被害児童のデータベースを持っていて,本件被害児童もそのデータベースに収録されているから,本件児童ポルノは上記検索システムによって容易に検索可能な物であり,捜査官がこれを買い受ける必要はなかったのであるから,捜査官が被告人に対して本件児童ポルノの買い受iナを申し込んで捜査の端緒としたのは違法なおとり捜査であり,それによって収集した証拠に基づいてされた本件公訴の提起は公訴権の濫用で違法であり,それに対して実体判決をした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反があるというにある。
しかし,被告人は,自らインターネットオークションにおいて,本件児童ポルノを販売する旨を申し出ており,捜査官が被告人の犯意を誘発した事情は認められず,単に機会を提供したに過ぎないから,捜査官の行為が違法なおとり捜査であるとはいえず,それによって収集した証拠が違法収集証拠になる訳はないし,その証拠に基づいてされた本件公訴の提起が公訴権の濫用で違法であるということはない。したがって,原判決には所論のような訴訟手続の法令違反がないことは明らかである。論旨は理由がない。