児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ購入行為の可罰性(福岡高裁那覇支部H17.3.1)

 販売団が検挙されて、検索でも電話相談でも多くなりました。

 買い受け行為の違法性については、比較的微弱であると。
 この理屈だと、単純所持なんて、さらに微弱微弱になりますね。関係者はメモしといてくださいよ。これが高裁レベルの理解です。
 最近では、警察官がおとりで買ったりしてますので、購入者の違法性は矮小化するしかないですね。

3 控訴趣意中児童買春法の憲法14条違反の主張について
所論は要するに,児童ポルノ販売罪は,買主との必要的共犯・対向犯であって,買主の買い受け行為の法益侵害,違法性は可罰的,当罰的であるにもかかわらず,売主のみを処罰するのは,法の下の平等憲法14条)に違反するから,児童買春法の児童ポルノ販売罪の規定は違憲,無効であり,同規定を適用して被告人を有罪とした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというにある。
しかし,買主の買い受け行為にも法益侵害,違法性があるとはいえるが,売主の販売行為の違法性,法益侵害性が強度の可罰性,当罰性を有するのと比較して,前者の法益侵害,違法性の可罰性,当罰性は微弱であるから,販売行為のみを処罰の対象とし,買い受け行為を処罰の対象としないことが憲法14条に定める法の下の平等に反しないことは明らかである。論旨は理由がない。

 なお、旧法の販売罪・現行法の不特定多数提供罪についてこう言ってしまうと、現行法の提供罪(特定少数)の場合は、相手方も同等に可罰的(違法性・法益侵害性)ということになります。
 将来、提供罪を受任したときに主張してみますが、そのときは、別の理由付けで逃げると思います。
 児童ポルノ拡散による権利侵害を重視するかどうかが問われる論点です。

 なお、取得は違法ですから、各種懲戒理由としては、「取得行為の違法性」が使われる可能性があると思います。