製造罪の関係では、データそのものの製造罪としてもらった方が有利なんですが、裁判所はそうは言ってくれません。
名古屋高裁金沢支部平成17年6月9日宣告
4画像データが児童ポルノであり,ハードディスク等が児童ポルノではないとの所論について(控訴理由第10)所論は,児童ポルノとされるのは画像データそのものであるのに,原判決は,ミニディスク,メモリースティック,ハードディスクという有体物を児童ポルノと認定したのは,法令適用を誤っているとする。しかし,法2条3項は,「児童ポルノ」とは,写真,電磁的記録に係る記録媒体と規定しているのであるから,記録媒体が児童ポルノであるのは明らかである。
東京高裁平成15年6月4日宣告
第5 法令適用の誤りに関する論旨について(控訴理由第2,第7ないし第10,第13、第14,一部他の控訴理由を併せて主張するものを含む。)
1 本件MOに関する法令適用の誤りについて
所論は,②「製造」とは,撮影,編集等により新たに児童ポルノを作り出すことをいうところ,電子データも児童ポルノであり,MOに蔵置されたデータは,撮影されてコンパクトフラッシュカードにいったん蔵置されたデータを,ハードディスクを経由して無編集でコピーしたものであるから,MOの作成は不可罰的事後行為ないし所持罪を構成するものにすぎず,製造罪(法7条2項)には当たらない(控訴理由第9),・・・という。
・・・②の点は,全く同一のデータを異なる媒体にコピーした場合であっても,その媒体は新たな取引の客体となり得るのであって,「製造」というを妨げない。デジタルカメラで撮影し,コンパクトフラッシュカードにその映像を蔵置した行為も当然製造に当たるところ,犯意を継続させてMOにそのデータを転送すれば,両者が包括一罪として評価されることになるが,そうであるとしても,後のMOの作成行為が不可罰となるわけではない。