検察官控訴もあるから、重く変更になるわけです。
量刑には、ストライクゾーンのような幅があるので、事実認定や法令適用に誤りがないとすれば、検察官は高めのギリギリを要求し、弁護人は低めギリギリを要求することになります。
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060916k0000e040018000c.html
酒気帯び運転で死亡事故を起こし、業務上過失致死と道交法違反の罪に問われた大阪府内の内装業の男(35)に対し、大阪高裁は14日、懲役1年とした1審・大阪地裁判決を破棄して懲役1年6月を言い渡した。白井万久裁判長は「やはり時節柄というか、そう簡単には済まされない。1審の刑期は軽すぎると言わざるを得ない」と付言した。被告側は、福岡市で幼児3人が死亡した飲酒運転事故後の厳罰化の流れが量刑に影響したとみており、弁護人は「世論に左右されるのはおかしい」と話している。
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大阪地裁は今年2月、懲役2年6月の求刑に対し、男に懲役1年の実刑を言い渡した。被告側は刑が重すぎるとして、検察側も量刑を不当として、控訴していた。
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弁護人は「こういう時期でなければ執行猶予がついた事案だろう。裁判官は人権のとりでであり、世論に判断を左右されるのはおかしいのではないか」と話している。
断片的な経験から、交通関係の業過は最近厳しいと見ているのですが、裁判例は調べていません。
弁護人は通常、同種裁判例にアクセスしませんので(そんな調査しようとしても弁護士会が止めようとするので)、「こういう時期でなければ執行猶予がついた事案」というのは、おそらく弁護人の勘です。
犯罪白書H17
平成16年の通常第一審における危険運転致死傷,業過(交通関係業過以外の業過を含む。以下,本節において同じ。)及び道交違反による有罪人員(懲役・禁錮)を,刑期別に見ると,2-6-1-3図のとおりである。
懲役又は禁錮の言渡しを受けた者のうち,実刑に処せられた者の比率は,危険運転致死傷では34.1%,業過では12.6%,道交違反では26.2%であった。危険運転致死傷により実刑に処せられた者は,110人であり,このうち,5年を超える懲役は18人(16.4%),10年を超える懲役は1人であった。
平成16年に,業過により,通常第一審において罰金の言渡しを受けた者は242人,略式手続において罰金に処せられた者は8万8,457人であった。また,同年に,道交違反により,通常第一審において罰金の言渡しを受けた者は589人,略式手続において罰金に処せられた者は61万1,929人であった(司法統計年報による。)。