児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「裁判員裁判の下における捜査・公判遂行の在り方に関する試案」

 弁護人は自由にアクセスできるんでしょうか?
 裁判員は選択されたものを見せてもらえるだけなんですか?
 

http://www.kensatsu.go.jp/oshirase/00111200603310/saibaninsaiban.pdf
・ 量刑資料の取扱い
裁判員を量刑判断に関与させる目的は,量刑に一般の国民の感覚を取り入れることにあり,また,量刑判断は個別の事案における情状を踏まえて決められるのであるから,同種の事案であっても,量刑判断にある程度の差が出ることはやむを得ない。しかし,裁判所の構成や地域によって量刑に不合理な格差が生じることは避けなければならない。また,我が国の刑法のように法定刑の幅が広い法制の下で一般の国民たる裁判員に何らの資料も示すことなく,適正な量刑判断を行うことは容易でないと思われる。したがって,量刑に関し,裁判員に過去の裁判結果など,何らかの参考資料を示すことはやむを得ないと思われる。この点に関し,最高裁判所から公表された「裁判員裁判の審理,評議及び評決について(試案)」は,裁判所の量刑検索システムを検察官・弁護人の双方に開示し,論告・弁論でも,同システムによって得られた量刑基準を前提に議論してもらうということが考えられる,との考え方を表明している。
最高裁において整備中の量刑検索システムを裁判員裁判における量刑資料として用いるのであれば,そのデータはできる限り豊富な事例を集め,必要な量刑要素を正確に入力したものにすることが望まれる。
そのため,最高裁のデータについては,その正確性を担保するとともに内容の充実したものにすることが必要であり,そのための方策を検討していくべきである。
論告・弁論において上記の量刑検索システムによって得られた量刑基準を前提に議論するという点については,若干の留保が必要である。議論の土俵をなるべく共通にするという観点からは,検察官と弁護人は,できるだけ上記のデータを基に論告・弁論を行うように努めるのが望ましいと言えようが(注),適正な量刑判断を確保するためには,上記のデータのほかに参考とすべき事例がある場合,それを指摘することは認められるべきであろう。
その上で,個々の事件の評議の際には,上記の量刑検索システム中のデータや論告・弁論で指摘された事例の中から,当該事案に参考となりそうな事例を適宜選んで裁判員に示すこととするのが相当であろう。
【注】その場合,あくまで,当該事案における情状を的確に指摘することが中心となるべきであり,量刑データの事案等について詳細に論じることは適当でないことが多いと思われる。