法科大学院のIPから記載例を探しに来る方が多いので、戦略的に特定の記載例を書いておきます。
よく見かけるオークションに出品という下りは、「不特定多数に対する」という構成要件の具体化ですよね。
「児童ポルノを販売していたものであるが」って書いちゃうと、提供罪の事実なのか所持罪の事実なのか不明確になります。
被害児童を特定(人相でもいいから)しましょう。
被告人は,Y株式会社が管理運営するインターネットオークションで(媒体種類)を出品販売していたものであるが,平成 年月日時分ころ,○○所在の被告人自宅において,児童であるW(当時歳)を相手方する性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を露骨に撮影収録した児童ポルノである(媒体の種類)1枚 を不特定の者に提供する目的で所持したものである。
参考
罪数において被害児童の人数を意識した裁判例
横浜地方裁判所平成15年12月15日
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
(犯罪事実)
被告人は,平成12年ころから,東京都渋谷区所在g株式会社が管理するサーバーコンピュータの記憶装置であるディスクアレイに「p掲示板」と称するインターネット上のホームページを開設し,××番地又はその周辺等において管理運営するものであるが,インターネットに接続したコンピュータを有する不特定多数の者が衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである画像を送信するかもしれないことを認識しながら,あえて,平成13年1月20日ころから平成14年10月29日ころまでコンピュータのディスクアレイに,別紙一覧表記載のとおり,前後22回にわたり,インターネットに接続したコンピュータを有する不特定多数の者が送信した衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである画像合計22画像分を記憶・蔵置させたままこれらを削除せず,もって,上記児童ポルノをインターネットに接続したコンピュータを有する不特定多数の者に閲覧可能な状況を設定し,上記日時ころ,上記児童ポルノ画像データにアクセスしたAほか不特定多数の者に対し,上記画像データを送信して再生閲覧させ,児童ポルノを公然と陳列した。(法令の適用)
1 罰条 被害者ごと(画像が複数ある被害者については,その複数は包括して)に,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条1項
2 科刑上一罪の処理 刑法54条1項前段,10条(一罪として,犯情の最も重い別紙一覧表番号1の被害者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反罪の刑で処断)