「串刺し理論」

判例
   数回の児童ポルノ販売罪は併合罪
   数回のわいせつ図画販売罪は一罪
といいます。

 とすると、

事例
2月1日 わいせつ図画かつ児童ポルノの販売
3月1日 わいせつ図画かつ児童ポルノの販売
4月1日 わいせつ図画

の場合、

2月1日 わいせつ図画かつ児童ポルノの販売というのは観念的競合で科刑上一罪(児童ポルノの刑)
3月1日 わいせつ図画かつ児童ポルノの販売というのは観念的競合で科刑上一罪(児童ポルノの刑)

として、
 他方、判例上数回のわいせつ図画販売罪は一罪なんだから、

2月1日 わいせつ図画
3月1日 わいせつ図画
4月1日 わいせつ図画

は一罪とすれば、

   数回の児童ポルノ販売罪は併合罪
   数回のわいせつ図画販売罪は一罪
という判例に矛盾せずに解決できます。

かすがい現象・かすがい理論と類似ですが、
軽い牽連犯が「かすがい」をしているのではなく
数回でも一罪と評価されるわいせつ図画罪が共通して入っているからこうなるのですから、
  串刺し理論
とでも呼ぶべきだと考えますが、どうでしょう?

 販売犯人にとっては、児童ポルノ販売する場合には、「わいせつ」でもあった方が、罪数面では有利になるということなんですが、児童ポルノ罪の罪数問題が最高裁で決まらないので、大事を取って(?)「わいせつ」もつけて立件されています。


なお、ときどき出てくる奥村説は、訴因変更による余罪追加を違法だという趣旨で、
  わいせつ図画は児童ポルノに吸収される
  児童ポルノ罪はおのおの併合罪
というものです。
結局「串刺し理論」には反対だったりして。