児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

提供・販売罪の前刑の確定前後にまたがって、提供・販売していた場合と刑法45条前段(京都地裁)

 奥村個人は併合罪説なので、この結論には反対。

第45条(併合罪) 
確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。

第50条(余罪の処理)
併合罪のうちに既に確定裁判を経た罪とまだ確定裁判を経ていない罪とがあるときは、確定裁判を経ていない罪について更に処断する。

 こういう事案

5/1 1月の児童ポルノ提供・わいせつ図画販売で有罪判決
5/2 わいせつ+児童ポルノ販売再開
5/16 上記判決確定
5/17 わいせつ+児童ポルノ販売
6/1 わいせつ+児童ポルノ販売
6/2 わいせつ+児童ポルノ販売

 京都地裁の結論。

東京高等裁判所昭和49年1月21日
高等裁判所刑事判例集27巻1号1頁
      高等裁判所刑事裁判速報集1995号
      東京高等裁判所判決時報刑事25巻1号1頁
創価法学5巻1〜2号253頁

 しかし数個ないし一〇数個の猥せつ図画販売行為が、継続的になされた場合には、その全部が包括して一個の猥せつ図画販売の罪に該当するものであつて、その猥せつ図画販売の行為の中間に別個の罪の確定裁判が介在しても、そのためにその猥せつ図画販売の罪が前後二個の猥せつ図画販売の罪に分割されるものでないと解すべきであり、そして本件の場合右一個の猥せつ図画販売の罪は前記別罪の裁判確定後に終了したものであることが記録上明らかであるから、その終了時を基準として刑法第四五条の適用については、その猥せつ図画販売の罪は別罪の裁判確定後の犯罪と解するのが相当であつて、
右確定裁判を経た罪とは同法第四五条の併合罪の関係に立つものではないというべきである(昭和三九年七月九日最高裁判所第二小法廷決定、刑集一八巻六号三七五頁参照。)。しからば、本件猥せつ図画販売の罪を判示第一と第三とに分割して、原判示第一の事実について、これを前記確定裁判を経た罪と同法第四五条後段の関係にある併合罪として処断した原判決は、包括一罪の個数に関する法律上の判断を誤り、ひいては併合罪に関する法令の解釈適用を誤つたものであり、右誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は全部破棄を免れない。