児童買春の国外犯は5件目になったそうです。
の続報。帰国。
カンボジアの司法は知りませんが、1年6ヶ月くらい勾留されていた可能性があります。
そんなときには、外国判決の効力を主張すれば有利なようです。
必要的減免ですから、これは主張しておく義務がある。
刑法第5条(外国判決の効力)
外国において確定裁判を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。ただし、犯人が既に外国において言い渡された刑の全部又は一部の執行を受けたときは、刑の執行を減軽し、又は免除する。
島戸検事「実例刑事判例評釈100」警察公論2002.12
注15)公訴事実第2 については,ほぼ同一事実により,カンボディア王国で予審中であったところ,外国において確定裁判を受けていたとしても同一行為について我が国において更に処罰することも可能とされており(刑法5条本文), これは外国において予審中であったとしても同様であるが,刑法5条ただし書の趣旨からすれば,我が国において刑を言い渡す際は,外国において未決勾留された日数について,情状面において考慮することが相当であろう。
また、自白事件の場合、日本警察の認知のタイムラグを利用して、外国での拘束時に、日本警察に対しても「自首」をするという方法もあるようです。代理人による自首もできないことはないので。
いろいろ論点があるようですが。
高橋政光「児童買春・児童ポルノ事犯に対する国際捜査協力と国外犯事件への取組み」警察学論集56巻2号
(8)外国の捜査機関に逮捕され、勾留された被疑者を外国の逮捕事実と同一事実で逮捕することの可否
【事例3】の事件では、被疑者はカンボジア王国で約半年間勾留された後処分保留となり保釈されたものであり、カンボジア王国で逮捕された事実と同一の行為で逮捕することについて問題となった。
しかし、刑法第5条(外国判決の効力)は、「外国において確定判決を受けた者であっても、同一の行為について更に処罰することを妨げない。」との規定があることや、被疑者が処分保留で釈放されて本邦に帰国している者であることから、「同一事実で捜査することは問題はない。」として逮捕した。
岡村和美「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の国外犯規定により処罰された事例大阪地裁平成14年6月20日判決(被告人控訴)(公刊物末掲載)」研修651号
辰井聡子「国外犯処罰規定でイラクの日本人を守れるか?」ジュリスト '05.02.01
外国の領土内は.基本的には当該国により秩序維持がなされるぺき領域であり、実体法・手続法のいずれにおt】ても,わが国の法適用は例外的なものである。国際法を遵守
するべきなのは当然であるが.悪意的な法執行に陥らないためには,どのような事情がある場合にわが国で刑事手続を行うぺきなのかについて、わが国の法理論の立場から検討しておくことも必要と思われる。