児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

比で児童買春した男逮捕 禁止法、全国で4例目

 日本で裁判を受けられるのは幸せだと思って下さい。

 報道の問題だと思いますが、日本警察が外国で捜査したら、任意捜査でも主権侵害ですけどね。

 フィリピンでは「16才」というのは証明できるんですかね。ベトナムでは数え年だったりして、お国柄が違うので混乱します。カンボジアの事件では、内戦当時のなんとか救国戦線の「住民改め帳」が出てきました。政権党なのか、現政府との継続性はどうか疑問でした。

 外国の立法 96v34n5-6によるとフィリピンの「児童の虐待.搾取及び差別に対する児童特別保護法(1992年6月17日共和国法律第7610号)」第5条は、無期または有期の懲役を規定しているそうです。
 奥村弁護士は、無理して日本で裁かなくても、現地で処罰すべきだと考えています。

http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20050126/eve_____sya_____011.shtml
容疑者が少女の裸を撮影した写真が自宅から見つかったことが捜査の端緒となり、愛知県警は警察庁と連携して昨秋から捜査員を現地に派遣し捜査。同県警によると、カンボジアやタイで買春した日本人に同法が適用された例はわずかにあるが、フィリピンは初。現地で逮捕されたり、わいせつ画像を日本へ持ち込もうとして税関から通報を受けたりしての適用例が多く、日本の警察独自の捜査による立件は珍しいという。

国外犯の事例です。児童買春の事案についても、いずれも、写真が決め手(非供述証拠)になっています。

1 横浜地裁H13.3.7  児童ポルノ製造罪 タイ
2 大阪地裁H14.4.26 児童ポルノ製造罪 カンボジア
3 大阪地裁H14.6.20 児童買春 実刑  カンボジア
4 大阪地裁H15.10.16 児童買春     タイ
5 千葉地裁H16.5.21 児童買春     カンボジア    

 捜査手法は神奈川県警・大阪府警千葉県警に蓄積されています。
 4の被告人は製造罪で略式命令を受けていますが、国外犯かもしれませんが、詳細は把握していません。
 児童ポルノ事案では実行行為の一部が外国にある(外国サーバーとか外国から発送とか)事例は多数あると思います。
 3の実刑事案は、前科無ですが、控訴審でも実刑が維持されています。
 なんだ、執行猶予かと油断すると失敗します。
 検察官請求証拠を検討して、前例と事案を比較して執行猶予が見込めるということになれば早期結審も選択肢です。
 実刑の可能性がある場合には、被害弁償(示談)の努力が欠かせません。被害児童と接触可能であれば、困難ではありません。
 現地のNGOと連絡を取って、保護救済してもらうのも一策です。

 多数の写真があって、短期旅行者が取っかえ引っかえ少女と性交等している場合は事実上児童買春と推定されるようです。

大阪地裁h14.6.20
周旋者への対償供与については,確かにこれを裏付ける直接の証拠は見あたらないものの,上記3で掲げた証拠によれば,被告人はアジア地域への短期の旅行を繰り返し,現地において多数かつ本件全証拠を検討しても被告人と特別の人的関係の認められない不特定の少女と性交等を行い,本件各事実もその一環として敢行されたものと認められ,このような性交等が周旋者への対償供与なくして行われると解するのは社会通念に照らして著しく困難であるから,これら周旋者への対債供与についての被告人の自白を裏付ける情況証拠というべきであり,これらを総合して周旋昔への対償供与の事実をを認定した。