児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「女児見ると変な気分に」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050101-00000013-san-soci

 大阪市内の連続強制わいせつ事件の国選弁護事件で、
   低学年の女の子をみると
   カーッとなって、
   自分の行動を制御できない
という被告人がいて、法廷でもそう供述した。
 被告人がそういうのだから弁護人も制御能力欠如による責任無能力を主張したのですが、

1 責任能力について
 被告人は接見時においても公判廷においても、「女の子にいたずらしたらあかんことはわかっています。しかし、好みの女の子を見かけると、頭が『かーっ』となって、自分の行動を自分ではコントロールできないのです。自分が何をしているのかはわかっているのですが、どうしようもできないのです。」と述べ、犯行当時、理非善悪の判断に従って行動する能力がなかったか、あるいは著しく劣っていたことは明かである。
 そこで、心神喪失または心身耗弱による責任阻却または軽減を主張する。

裁判所は
   低学年の女の子をみると
   カーッとなって、
   自分の行動を制御できない
   というのでは心神喪失心神耗弱も認めない
という判断で長期の実刑でした。

 彼もそろそろ社会復帰すると思うのですが、施設内処遇で
   低学年の女の子をみると
   カーッとなって、
   自分の行動を制御できない
という精神状態は、改善されたのでしょうか?
 
 ところで、大阪地裁の事件で、6才の児童の裸体を撮影したという児童ポルノ製造事案の弁護をしましたが、どうして強制わいせつで立件しないのかは最後まで疑問でした。
 「告訴なしてで、実質的には強制わいせつ罪の一部起訴じゃないのか?」という疑問があります。

阪高裁 平成14年9月10日(公刊物未掲載)
②被告人は,被害児童の撮影を自己の性欲を満たすために行ったものであり,しかも,被害児童は6歳であるから,暴行脅迫がなくとも,これを裸にして撮影した被告人の行為は強制わいせつの実行行為にあたるところ,強制わいせつ罪は親告罪であり,公訴を提起するには,被害児重ないしその保護者の告訴が必要であるが,本件においては被害児童の保護者は犯人を告訴しない旨供述しているのであるから,強制わいせつ罪より法定刑の軽い児童ポルノ製造罪で起訴して処罰することは,強制わいせつ罪が親告罪とされている趣旨に反し許されないのに,被害児童の保護者の告訴のないまま起訴した点において(控訴理由第7),原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反がある,というものである。
(中略)
②についは,児童ポルノ製造罪の保護法益は上記第1記載のとおりであり, この処罰の目的は,個人の性的自由を保護法益とする強制わいせつ罪のそれとは異なることは明らかであり,児童ポルノ製造罪が強制わいせつ罪の構成要件の一部とはいえず,また,児童ポルノ製造罪が親告罪とされなかったのは,親告罪とすると,加害者やその背後の組織からの報復を恐れて告訴できなかったり,あるいは保護者に対する金銭的な示談で告訴を取り下げさせたりすることが通常の性犯罪以上に予想され,所期の目的が達成ができないためであり,従って,本件において,被害児童の保護者に被告人を告訴する意思がないのに本件公訴を提起したことは,強制わいせつ罪が親告罪とされている趣旨を潜脱することにはならない

 この事件は保護者が娘をモデルに供していたので告訴はでてませんでした。
 告訴を追完されるような事件でこんな主張したらだめですよ。