児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

winny初期ノードが1個なら、接続ノードは始終1個である。H16.11.30 京都地方裁判所

 判決について自戒弁護人に質問されても困るのですが、
 被告人が初期ノードが1個だと供述したので、そういう事実認定になって、それを前提に直接性の判断をしています。 
 それ以上はコメントできません。

③ 弁護人の主張①について
弁護人は,被告人の本件行為は,特定の1名の者に対する送信を可能化したに過ぎず,公衆に対する送信を前提とした送信可能化権侵害には当たらない旨主張する。
 たしかに,被告人は,自己のパソコンを,初期ノードを設定した1個のパソコンに接続し,それを介してWinnyネットワークに接続していたものである。
 しかし,Winnyネットワークに一旦接続されてしまえば,これに参加している不特定多数のパソコンとの間での情報のやり取りが可能となり,ファイルを共有する状態となるものであることは,明らかである。そして,当初設定された初期ノードにかかるパソコンは,単にWinnyネットワークに通ずる一つの通過点となるに過ぎず,そこには,同パソコンの使用者の意思等が何ら介在しないであるから,被告人の本件行為が,不特定かつ多数の公衆に対する直接の送信を可能化するものと評価されることは明らかである。

④ 弁護人の主張⑦について
 弁護人は,Winnyが,そのネットワーク内において他人のパソコンを介して情報の送受信を行うプログラムであることから,そこで行われる送信行為は間接送信にほかならず,被告人の本件行為についても,直接送信を前提とした送信可能化権侵害に当たることはないなどと主張する。
 たしかに,弁護人が主張するように,Winnyネットワーク内における情報の送受信においては,これをアップロードした者とは異なる第三者が使用する複数のパソコンを経由して,その受信者となる者のパソコンに当該情報がダウンロードされるということもあり得る。