児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

拘置所からの手紙:強姦致傷罪数件(既遂)につき執行猶予の可能性がある」という弁護人という量刑予想で、求刑は「懲役7年」、弁論は「執行猶予」だったが、執行猶予はつきますか?

 法律上は可能ですが、普通の弁護士なら最初から「執行猶予はつかない」と言うはずですが。
 

第181条(強制わいせつ等致死傷)
2 第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する

ブログ児童淫行事件

 撮影してたら、どの行為を何罪でどこに起訴するかよく考えましょう。
 千葉地検は、児童淫行罪+製造罪=観念的競合説でしたよね。

http://mainichi.jp/area/chiba/news/20080613ddlk12040184000c.html
調べでは、容疑者は3月16〜29日の間、県内の当時中学2年だった少女(14)が18歳未満であることを知りながら、「カメラテストに合格したらファッション雑誌のモデルにしてあげる」などと誘惑。3回にわたって自宅に誘い出し、わいせつな行為をさせた疑い。
 容疑者が開設したブログで知り合ったという

被告人は「撮って送れ」と頼んだが、実は被告人が頼む前に撮影された画像を送ったのに「送信させ製造した」として有罪になった事案

  6/1に頼んで、
  6/2に姿態をとらせて撮影させ、送信させ、受け取って、
  もって児童ポルノである被告人の携帯電話を製造した
という訴因で、画像の撮影日が5/1。

 販売用に撮っておいてある画像。これは「姿態をとらせて」ないですよね。
 児童による提供罪の共犯か?取得罪も単純所持罪もないのだから処罰できないですよ。
 弁護人は何してる?再審できるんじゃない?

児童ポルノ規制に意欲 G8司法・内務相会議で鳩山法相

 いろいろ改良すべき点が多いのに、与党案って、ほんとアメリカの要請にのみ忠実に応えてますよね。
 児童が被害者かどうかわからないようないいかげんな児童ポルノ法でいいかげんな法令適用でなま緩く処罰される国には住みたくないですね。

児童ポルノ所持禁止法案の成立急ぐ」 法相・米司法長官と会談
2008.06.13 NHKニュース 
 会談の中で、鳩山法務大臣は、自民・公明両党が今週、児童ポルノを所持すること自体を罰則を設けて禁止するための児童ポルノ禁止法の改正案を国会に提出したことを説明し、「法務省としても、早く法案が成立するように協力したい」と述べました。
 これに対し、ムケージー司法長官は、「児童ポルノは、児童に対する犯罪であり、それを許容する世界に住みたいと思う人はいない」と述べ、評価しました。

児童ポルノ規制に意欲 G8司法・内務相会議で鳩山法相
2008.06.13 朝日新聞
鳩山法相は「成立に向けて、積極的に貢献したい」と報告。ムケージー長官は「ポルノ画像の1枚1枚は児童への犯罪で、それが許される社会に、だれも住みたいと思わない」と述べた。

被害弁償の意思を控訴審の裁判長に伝えたのは、判決期日(今年5月29日)の前日だった

 弁護人が知っていたら、最初から控訴趣意書に入れますよね。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080614/trl0806141914000-n4.htm
検察側が証人尋問の中で明らかにした火災保険金の下りた日は昨年4月5日。
 被告はその11日後の4月16日に1審・神戸地裁で初公判を迎え、12月12日に判決を言い渡された。
 被告・弁護側は1審初公判前に保険金が下りていることを把握しながら、公判を通じて遺族らに隠し続けていたことになる。
 これでは遺族らが不信感を募らせるのも当然だ。
 しかも、被告・弁護側が被害弁償の意思を控訴審の裁判長に伝えたのは、判決期日(今年5月29日)の前日だったという。量刑を減らそうとする意図があまりにも露骨だといえる。
・・・・
判決直前の被害弁償申し立てを裁判長が「不誠実」と受け取るのか、あくまで「誠意」とみるのか。量刑に影響するのか。
 7月3日に言い渡される判決に注目したい。

 「判決直前の被害弁償申し立て」でも、無いよりはかなりましなので、有利な事情ですね。どの程度斟酌するかは別として。
怒ってるからって全く謝罪・弁償にいかないのと比べるわけです。

原田國男「量刑判断の実際」 増補版p20
被害者やその遺族の被害感情か強いことは,しばしは,被告人に不利益な情状として取り上げられる。被害感情も応報感情の一つであるから,これが責任において考慮されるのはやむを得ない。逆に,被害者側の宥恕があったことは,被告人に有利な情状となる。ことに,親告罪の場合はその意味は大きい。被害感情か激烈で, 一切の損害賠償.示談には応せず,被告人ができるだけ長く服役すること等を希望するような場合に,これをあまり重視するのは適当ではない。いうまでもなく,被害感情に報いるだけが刑罰の目的ではないからである。