真剣交際の立証に被害者尋問してませんから。
検察官も、地位・立場をいうなら児童淫行罪で家裁に起訴すべきですね。そんなに強気ではないというのが罪名に出ています。地裁であんまり強く主張すると管轄違になってしまうという変な事物管轄です。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080530/crm0805301336013-n1.htm
検察側は「教師という立場にありながら、教え子にみだらな行為をし、悪質極まりない」と指摘。一方、弁護側は「2人は真剣に交際していた。単に性的欲望を満たすためではなく、処罰対象とされる淫行(いんこう)には当たらない」と無罪を主張していた。
判決によると、被告は昨年12月15日、同県下野市のホテルで、女子生徒が18歳未満と知りながら、性的欲望を満たすためわいせつな行為をした。
被告人は控訴するんでしょうか?
栃木県青少年健全育成条例 http://www.pref.tochigi.lg.jp/life/seishounen/seishounen/resources/zyourei.pdf
第四十二条
(いん行等の禁止)
1 何人も、青少年に対し、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
第五十六条
1 第四十二条第一項の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
8 第二十二条第四項、第二十五条第三項、第三十四条、第四十二条第一項若しくは第二項、第四十三条、第四十四条第一項、第四十五条から第四十七条まで、第四十八条第二項又は第四十九条第一項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第一項、第二項又は第四項から第六項までの規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことについて過失のないときは、この限りでない。
福岡県青少年保護育成条例違反被告事件
最高裁判所大法廷判決昭和60年10月23日
そこで検討するのに、本条例は、青少年の健全な育成を図るため青少年を保護することを目的として定められ(一条一項)、他の法令により成年者と同一の能力を有する者を除き、小学校就学の始期から満一八歳に達するまでの者を青少年と定義した(三条一項)上で、「何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつの行為をしてはならない。」(一〇条一項)と規定し、その違反者に対しては二年以下の懲役又は一〇万円以下の罰金を科し(一六条一項)、違反者が青少年であるときは、これに対して罰則を適用しない(一七条)こととしている。これらの条項の規定するところを総合すると、本条例一〇条一項、一六条一項の規定(以下、両者を併せて「本件各規定」という。)の趣旨は、一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に未だ十分に安定していないため、性行為等によつて精神的な痛手を受け易く、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとしたものであることが明らかであつて、右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例一〇条一項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似制為をいうものと解するのが相当である。けだし、右の「淫行」を広く青少年に対する性行為一般を指すものと解するときは、「淫らな」性行為を指す「淫行」の用語自体の意義に添わないばかりでなく、例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上およそ処罰の対象として考え難いものをも含むこととなつて、その解釈は広きに失することが明らかであり、また、前記「淫行」を目して単に反倫理的あるいは不純な性行為と解するのでは、犯罪の構成要件として不明確であるとの批判を免れないのであつて、前記の規定の文理から合理的に導き出され得る解釈の範囲内で、前叙のように限定して解するのを相当とする。このような解訳は通常の判断能力を有する一般人の理解にも適うものであり、「淫行」の意義を右のように解釈するときは、同規定につき処罰の範囲が不当に広過ぎるとも不明確であるともいえないから、本件各規定が憲法三一条の規定に違反するものとはいえず、憲法一一条、一三条、一九条、二一条違反をいう所論も前提を欠くに帰し、すべて採用することができない。
なお、本件につき原判決認定の事実関係に基づいて検討するのに、被告人と少女との間には本件行為までに相当期間にわたつて一応付合いと見られるような関係があつたようであるが、当時における両者のそれぞれの年齢、性交渉に至る経緯、その他両者間の付合いの態様等の諸事情に照らすと、本件は、被告人において当該少女を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性行為をした場合に該当するものというほかないから、本件行為が本条例一〇条一項にいう「淫行」に当たるとした原判断は正当である。