児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

被害者国選弁護 費用返還求めず 法務省案を自民了承

 被害者による被告人質問とか、論告程度なら、弁護士から見ても費用はかからないし、弁護士費用で目に見えた効果もないから、資力要件なんてなくてもいいんじゃないですか?資力があっても被害者であって、被害者を保護するんでしょ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080119-00000087-san-soci
被害者国選弁護 費用返還求めず 法務省案を自民了承
 刑事裁判に犯罪被害者らが参加する「被害者参加制度」をめぐり、法務省は18日、公費で選任される弁護士費用については原則、被害者側に返還を求めないなどとする原案を自民党司法制度調査会などの合同会議に示し、了承された。同省は総合法律支援法などの改正案を通常国会に提出する方針。

 他方、それを被告人に請求されると困りますね。

刑訴法
第181条〔被告人の負担〕 
刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。
?被告人の責に帰すべき事由によつて生じた費用は、刑の言渡をしない場合にも、被告人にこれを負担させることができる。
?検察官のみが上訴を申し立てた場合において、上訴が棄却されたとき、又は上訴の取下げがあつたときは、上訴に関する訴訟費用は、これを被告人に負担させることができない。ただし、被告人の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、この限りでない。
?公訴が提起されなかつた場合において、被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用があるときは、被疑者にこれを負担させることができる。

各種禁制品を販売した場合の罪数処理

 わいせつDVD+バイアグラ向精神薬など、禁制品の販売というノウハウを持ってしまうと、何でも扱うようです。
 わいせつ図画などは、営利性でひとくくりにして、包括一罪になるんですが、いろいろ扱ってる場合はどうなるんでしょうか?
 選択肢としては
  1 各罪ごとに包括一罪として観念的競合
  2 各罪ごとに包括一罪として観念的競合
  3 包括一罪とせず、各行為が各販売罪となり、併合罪
というのがありえるんですが、各罪の保護法益を重視するなら、3ですよね。
 ここまでくると、わいせつ図画販売罪の包括一罪も切れますよね。

1月1日著作権法違反
1月3日商標法違反
1月5日わいせつ図画
1月7日薬事法違反
1月9日覚せい剤
1月11日麻薬
1月13日児童ポルノ
1月15日著作権法違反
1月17日商標法違反
1月19日わいせつ図画
1月21日薬事法違反
1月23日覚せい剤
1月25日麻薬
1月27日児童ポルノ
1月29日著作権法違反
1月31日商標法違反
2月2日わいせつ図画
2月4日薬事法違反
2月6日著作権法違反
2月8日商標法違反
2月10日わいせつ図画
2月12日薬事法違反
2月14日覚せい剤
2月16日麻薬
2月18日児童ポルノ
2月20日著作権法違反
2月22日商標法違反
2月24日わいせつ図画
2月26日薬事法違反
2月28日覚せい剤
3月1日麻薬
3月3日児童ポルノ
3月5日著作権法違反
3月7日商標法違反
3月9日わいせつ図画
3月11日薬事法違反
3月13日著作権法違反
3月15日商標法違反
3月17日わいせつ図画
3月19日薬事法違反
3月21日覚せい剤
3月23日麻薬
3月25日児童ポルノ
3月27日著作権法違反
3月29日商標法違反

公然わいせつ罪につき「会員制だから公然ではない」として否認している事案

   公然=不特定又は多数
ですから、対立概念は
   非公然=特定かつ少数
になります。
 特定の1人だけなら「特定かつ少数」なんでしょうが、店内の座席数などからみて、営業的にやっていると、特定少数だと言い切るのは難しいような気がします。実際、摘発事例は多くて、そんな弁解通ってないし。

http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/article.aspx?id=20080121000110
ハプニングバー四国初摘発−経営者ら5人逮捕
2008/01/21 10:37
 調べでは、両容疑者は、20日午前2時35分から同50分にかけ、雑居ビル地下1階の同店で、客の男(41)と女(35)が別の女(32)を全裸にしてカメラ撮影していたのを、ほかの客に見せた疑い。
 昨年6月に情報提供を受けた同署などが内偵捜査を進めていた。当時、店内には13人の客がいたらしい。
 同店は会員制で、約3年半前にビルやデパートが並ぶ繁華街の雑居ビルにオープン。ホームページや口コミでうわさが広まり、会員は県外客も含めて数百人に上るという。
 調べに対し、容疑者は「趣味でやっていた」と容疑を認め、容疑者は「会員制だから公然ではない」と否認。同署などは会員名簿など段ボール箱9箱分を押収し、実態解明を急いでいる。

東京高等裁判所判決昭和33年7月23日
高等裁判所刑事裁判特報5巻8号345頁
東京高等裁判所判決時報刑事9巻7号220頁
判例タイムズ83号53頁
所論にかんがみ記録を調査するに、被告人に対する直判示公然猥褻及び猥褻図画陳列の事実は原判決挙示の証拠により明らかなように、不特定多数の客を勧誘しこれに観覧の機会を提供しているのであるから、たとえ会員組織の如く半ば秘密に会員券を売り会場は外部の人の出入を許さず、客同志も殆んどお互に判らず未成年者は入場しなかつたとしても、それが刑法上所謂公然となされたものに該当すること論をまたない。

大阪高等裁判所判決昭和30年6月10日
高等裁判所刑事判例集8巻5号649頁
高等裁判所刑事裁判特報2巻12号591頁
 按ずるに、生物は生殖の本能と種族保存の本能を有するのであつて、人類もまた生物の一種としてこの本能に支配せられ、性交によつて永遠の生命を保持するのである。従つて性的行為は社会の存在する根本条件であるから、性的適徳は古来から保護せられて来たのであるが、他面性欲を刺げきし満足せしめる行為が社会の健全な性感情、善良な風俗を害し、社会の秩序を破壊する場合には刑法の干渉を受けることとなるのであつて、刑法第百七十四条もまたこの意味から設けられている規定である。従つて、同条にいわゆる公然の意味も右の趣意に則り解釈せられなければならないのであつて、この趣意を離れ単に文字の末節のみにとらわれた解釈態度は同条本来の使命と目的とを忘却するものといわなければならない。従つてこの見地に立つて同条を解釈すると、同条にいわゆるわいせつの行為とは性欲の刺げき満足を目的とする行為であつて、他人に羞恥の情を懐かしめる行為を云うのであり、叉公然とは不特定叉は多数人の認識し得べき状態を云うのであつて、必ずしも現に不特定又は多数人に認識せられることを要しないのである。従つて、特定の少数人のみの認識し得る状態においては原則として公然とは云い得ないのであるが、もしそれが現に特定の少数人が認識し得るにすぎない状態にあるにせよ、偶発的に行われたものではなく一定の計画の下に反覆する意図をもつて不特定人を引入れこれを観客として反覆せられる可能性のあるときは上記の趣意から見て、不特定叉は多数人の認識し得べき状態であると解すべきであり、従つてこの場合には公然性を具有するに至るものとしなければならないのである

 なお、録画して再生していると、わいせつ物公然陳列罪になって、法定刑が4倍になります。

第174条(公然わいせつ) 
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
第175条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

 わいせつをその場限りで見せる(脳裏に焼き付ける)というのと、物に固定して反復して見せるというのとでは、これだけ評価が違います。

出会い系で売買春持ちかけ、中1女子2人を補導

 小6と援助交際すると、強姦なんですけど、珍しくない。

 ザル法を言われて検挙数が少ないのですが、ここへきて改正を盛り上げるための援護射撃みたいですね。
 誘引罪を端緒として福祉犯を検挙するのが、この法律。できるんなら最初からやってよ。
 「女子小学生を「JS」、女子中学生を「JC」などとして隠語を使い・・・」っていまや隠語と言うより、標準語ですよね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080121-00000030-yom-soci
出会い系で売買春持ちかけ、中1女子2人を補導
 インターネットの出会い系サイトに売買春を持ちかける書き込みなどをしたとして、埼玉県警が県内の中学1年の女子生徒2人(ともに13歳)を出会い系サイト規制法違反の非行事実で補導、東京都江戸川区教育委員会の職員(44)ら男3人を同法違反容疑で逮捕し、男1人を書類送検したことが21日、わかった。
 県警は今後、同様の書き込みをした小学6年生の女児(12)や女子中学生数人を補導などする方針。
 最終的には男女計十数人を摘発・補導する見通しだ。同県警によると、同法での小6の補導例はなく、中1でも珍しいといい、出会い系サイトを使った犯罪の低年齢化が問題になりそうだ。
 調べによると、サイトの利用者は主に携帯電話からアクセス。女子小学生を「JS」、女子中学生を「JC」などとして隠語を使い、金額や年齢は数字だけを示して売買春を持ちかけていた。
 江戸川区内の小学校に勤務する区教委の職員は昨年8月、「11〜15いるかな?」「お小遣いあげるよ」などと書き込んでいたという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080121-00000918-san-soci
同サイトでは、女子小学生を「JS」、女子中学生を「JC」などとする隠語が用いられ、「JC114、諭吉3」(女子中学1年生14歳、3万円の意味)などの書き込みが多数あり、児童売買春の温床になっていたとみられる。
 同サイトの書き込みをめぐっては14、15歳の中学生2人が実際に児童買春の被害にあっており、県警少年捜査課は、ほかに逮捕した千葉県市川市の会社員(25)と茨城県笠間市の工員(33)を買春についても追及する。書類送検されたさいたま市大宮区の会社員(53)は1回、書き込んだだけだったため、逮捕されなかった。