児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ単純所持罪と迷惑防止条例違反(盗撮)とで、懲役8月執行猶予3年(鹿児島地裁h30.1.24)

 
  迷惑条例(盗撮)で検挙されて警察署に連れてこられた際にスマホを任意提出させられて、児童ポルノ画像が発見されたので、単純所持罪でも立件されたようです。児童ポルノの犯情は不明で、常習盗撮の方が犯情重いようです。

「第2の行為は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条1項前段にそれぞれ該当するところ、」では2条3項何号に該当するのかわかりませんね。理由不備の疑い。

鹿児島地方裁判所平成30年01月24日
 上記被告人に対する公衆に不安等を覚えさせる行為の防止に関する条例違反(鹿児島県)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について、当裁判所は、検察官春口太志、私選弁護人上野英城各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人を懲役8月に処する。
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、
第1 常習として、正当な理由がないのに、平成29年11月12日午後6時16分頃から同日午後6時27分頃までの間、(住所略)株式会社A B店内の試着室内において、自ら同室内にあらかじめ設置した火災報知器型等の小型カメラ2台で氏名不詳の女性の下着姿を撮影し、もって写真機等を使用して、人の下着又は身体の映像を記録し、人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において当該状態でいる者に対し、著しく羞恥させ、かつ、不安を覚えさせるような行為をした。
第2 自己の性的好奇心を満たす目的で、平成29年11月12日、(住所略)C警察署において、衣服の全部又は一部をつけない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノである動画データ3点を記録したマイクロSDカード1枚を所持した。
(証拠の標目)
  [注:括弧内の甲乙の番号は、証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号]全部の事実について
 被告人の公判供述
第2の事実について
 被告人の警察官調書(乙8~10)
 スマートフォンの領置日時場所報告書(甲9)
 領置経過報告書謄本(甲10)
 児童ポルノ等写真撮影報告書(甲11)
 児童ポルノ等写真撮影報告書の訂正報告書(甲12)
 「(省略)」フォルダー内画像精査結果報告書(甲13)
 鑑定書(甲14、15)
(法令の適用)
 第1の行為は公衆に不安等を覚えさせる行為の防止に関する条例(鹿児島県)6条2項、2条の2第2項2号、第2の行為は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条1項前段にそれぞれ該当するところ、各所定刑中懲役刑をいずれも選択し、以上は刑法45条前段の併合罪であるから、同法47条本文、10条により、犯情の重い第1の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役8月に処し、情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
(量刑の理由)
 本件は常習盗撮と児童ポルノの所持の事案である。なかでも犯情の重いのは、スポーツショップの試着室に盗撮用のカメラを仕掛けて、試着中の女性客の下着姿を動画で盗撮した事案であり、被告人は、同様の盗撮用の特殊なカメラをトイレ等に設置し、用便中の女性の肢体を動画撮影することを繰り返していた。被告人のパソコンに保存されていた被告人が撮影したこの種の盗撮動画のうち撮影日時が特定できるものだけでも、平成29年5月から同年11月までの116件が確認されており、常習的な盗撮である。
 被告人は、まだ大学生であった平成26年にもアルバイト先の更衣室で盗撮行為を行い、警察に検挙されて、軽犯罪法違反で科料に処せられた前科があったのに、社会人となり鹿児島税務署に勤務するようになった後も、前述した様な破廉恥な犯行を1年以上も繰り返していたというのであるから、この種の犯行に対する規範意識は相当低い。
 そうすると、被告人の刑事責任を軽く考えることはできないが、各犯行の罪質や被告人に禁錮刑以上の前科がないこと、事実を認め反省の態度を示していること等を考慮して、社会内での更生の機会を与えることとする。
(求刑 懲役8月)
刑事部
 (裁判官 冨田敦史)