児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

森永真綱「法学のアントレ(第2回)判例 性的意図は強制わいせつ罪の成立要件か?」法学教室440号

 神戸地裁H28.3.18→大阪高裁h28.10.27(未公開)→上告中
 強制わいせつ罪の成立範囲には変更無いような気がします。

性的意図を必要とする説をとった場合の実際上のメリットとして,
医師が診療の一環で患者の性器などに触れた場合,強制わいせつ罪の不成立を性的意図の不存在に求めることができる点が挙げられている。これに対し,性的意図不要説からは,強制わいせつ罪の構成要件該当性は肯定されるが, 正当行為(刑35条)を理由に違法性が阻却されると説明すれば足りると反論されている。しかし, いろいろな事例について, こうした形で説明しきれるかは,改めて考える必要があるかもしれない。例えば,父親が女児のおむつを替えたり, 女児をお風呂に入れる行為の不処罰は,性的意図不要説からは, どのように説明されるだろうか。子育てに奮闘する父親が,強制わいせつ罪の構成要件該当行為を行っていると評価するのは,かわいそうな気もする。正当行為で違法性が阻却されるという説明もおおげさに感じる。また, いわゆるSMプレイは単なる暴力と紙一重だが, わいせつ行為かどうかを本当に客観的に判断することができるのだろうか。客観的に評価できると言っている人も,行為者が外形的に行っている行為に加えて,暗黙のうちに,外部にあらわれた性的意図も合わせて考慮し,性的な意味合いの有無を判断しているような気もする。上記の神戸地裁判決は確定していないようであるが, みなさんが最高裁判事ならどのような判断を下すだろうか。一度考えてみてほしい(町野朔『犯罪各論の現在」〔有斐閣, 1996年] 277頁以下,松宮孝明『刑法各論講義〔第4版] [成文堂2016年〕118頁以下参照)。←