児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

中高生の師弟関係の性的行為ついて青少年条例違反のみを検討する弁護士


 こういう判例があるので、ファーストチョイスは児童淫行罪です。
 担任とかクラブ顧問とかの「影響関係」が薄い場合は青少年条例違反が検討されます。
 師弟関係の児童淫行罪では2/3程度が実刑になっていますから、重い方を念頭に対応してください。

児童福祉法
第三四条[禁止行為]
1何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六 児童に淫いん行をさせる行為
第六〇条
1 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

最高裁判所第1小法廷 平成26年(あ)第1546号 児童福祉法違反被告事件 平成28年6月21日
弁護人竹永光太郎の上告趣意のうち,憲法31条違反をいう点は,児童福祉法34条1項6号の構成要件が所論のように不明確であるということはできないから,前提を欠き,その余は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論に鑑み,職権で判断する。
 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」とは,同法の趣旨(同法1条1項)に照らし,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいうと解するのが相当であり,児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は,同号にいう「淫行」に含まれる。
 そして,同号にいう「させる行為」とは,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいうが(最高裁昭和39年(あ)第2816号同40年4月30日第二小法廷決定・裁判集刑事155号595頁参照),そのような行為に当たるか否かは,行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である。
 これを本件についてみると,原判決が是認する第1審判決が認定した事実によれば,同判示第1及び第2の各性交は,被害児童(当時16歳)を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交であり,同児童が通う高等学校の常勤講師である被告人は,校内の場所を利用するなどして同児童との性的接触を開始し,ほどなく同児童と共にホテルに入室して性交に及んでいることが認められる。このような事実関係の下では,被告人は,単に同児童の淫行の相手方となったにとどまらず,同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたと認められる。したがって,被告人の行為は,同号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たり,同号違反の罪の成立を認めた原判断は,結論において正当である。

http://www.excite.co.jp/News/column_g/20171014/Imedia_082057.html?_p=2
教師と生徒の恋愛は法的に許される? シェアしたくなる法律相談所 2017年10月14日 21時40分 (2017年10月16日 14時00分 更新)

画像はイメージです:https://www.shutterstock.com/
9月28日兵庫県の中学校に勤める男性教諭が、卒業生の女性に対し「デートしたい」などとLINEメッセージを送っていたことが報じられています。
教諭は9月26日付で訓告処分となったようですが、以前にもトラブルになっており、ネットからは「退職させるべきではないか」「教師に向いていない」という厳しい声もでているようです。
一方で「卒業生ならば良いのではないか」「教師と生徒・元生徒という立場でも、お互いが恋愛感情を持っていれば恋愛しても良いのではないか」という同情的な意見もあがっています。
今回の件のような教師と生徒、元生徒とデート、恋愛をするようなことは法律的に許されるのでしょうか? ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士に見解をお伺いしました。

■教師と生徒・元生徒の恋愛は許されるのか?
兵庫県で、40代の中学校の教師が10代の女性卒業生に対して『ちゅ~してしまうかも』、『デートしたい』などとLINEを送ったことにより、訓告処分を受けたことが話題になっています。
卒業生なのであれば、もう先生と生徒という関係にはありません。そのため、この教師が訓告処分を受けたことに対して疑問の声も上がっているようです。
先生と生徒、元生徒との恋愛は許されないのでしょうか。今回はこの点について考えてみます」(寺林弁護士)

■青少年保護育成条例への抵触
「18歳未満の女性に対する性的な行為はほとんどの自治体で青少年保護育成条例によって禁止されています。…
真摯な交際であれば許されるという例外もありますが、実際のところ、そうみなされるケースは非常に少なく、先生と生徒、元生徒(18歳未満)との恋愛で性的な関係があれば、この条例に反するとされ刑罰の対象となるでしょう」(寺林弁護士)

■今回の件について
「今回の件については、“元教師”という権威的立場を利用して、性的発言を元生徒に行った点がセクハラに類似する“性的嫌がらせ”とみなされたのではないでしょうか。
もう卒業している学校とはいえ、自分の兄弟が通学している場合などには、自分の対応いかんで何らかの不利益を被ることも想定されます。
そのような状況ではなくても、これがどんどんエスカレートして、例えばストーカー行為に及んだりわいせつ画像を撮らせるよう懇願するような危険性があったのかもしれません。
実際、この男性教諭は以前にもトラブルがあり、この件も踏まえたうえで自覚が足りないと訓告処分が科されたのではないかと思います」(寺林弁護士)

■結局のところ先生と生徒の恋愛は許されるのか
「許されることがあるとすれば、対等な立場で性的な関係を一切伴わない「純愛」しかありえないものと思われます」(寺林弁護士)
性的関係を伴う場合、その立場上周囲の理解を得ることは難しいようですね。

*取材協力弁護士:寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。…