児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

姿態をとらせ製造罪の「姿態をとらせ」は身分犯の身分であって実行行為ではない(仙台高裁支部h27.6.30)

 「3項製造罪」って呼んでたんですが、いまは4項になったので、これからは「姿態をとらせ製造罪」ということにします。
  実行行為説
  行為の状況説
  身分説
といろいろ解釈出てきましたね。
 じゃあ、共犯のときは刑法60条を摘示しろよ。

改正児童ポルノ禁止法を考える|日本評論社
?「姿態をとらせ」
 04年改正法7条3項の「姿態をとらせ」の法的性格については、実行行為とするもの(判例12、判例20)と、実行行為としないもの(判例56)があり決着が付いていないが、複製を伴う「姿態をとらせ製造罪」の成立範囲については、姿態をとらせた撮影者が複製する場合には最終媒体までの製造罪が成立するとされる(判例11、判例13、判例20、判例25、判例36、判例61)
判例12 東京高判 2005・12・26 判時 1918号122頁
判例20 札幌高判 2007・9・4 高等裁判所刑事裁判速報集(平19)号522頁

児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例 最高裁判例解説刑事編H21P463
イ 「姿態をとらせ」る行為は実行行為か
罪数の問題を考察する前提として, 「姿態をとらせ」る行為が実行行為か否かの問題をまず検討する。児童買春・児童ポルノ等処罰法上, 単なる「製造」は処罰されず, 3項においては「姿態をとらせ」ることも要件となっており, 「姿態をとらせ」たことにも当罰性の根拠が求められていると解されること, また, 「姿態をとらせ」 との文言は明らかに人の行為を意味していることからしても, 「姿態をとらせ」は, そのような、当罰性を基礎付ける行為を構成要件的行為として規定したものと解すべきものであろう (その怠味で, 東京高裁平成17年判決が「児童に姿態をとらせ』としみ行為をその犯罪構成要件として規定している」と判示しているのは, 正当であると思われる。)。
そうである以上「姿態をとらせ」る行為が, 「実行行為ではなく手段あるいは身分的なものにすぎない」との説明は, やや不自然さが否定できないように思われ,【判例③】もそのような理解を明示的に判示しているものでないことは前記のとおりである。
結局. 3項製造罪の要件の一部である「姿態をとらせ」るとの行為と,児童淫行罪の実行行為とが重なる部分があることを前提として考察を進めるべきものと思われる。

(注28) 東京高裁平成21年判決②は「姿態をとらせ」る行為が実行行為の一部であると解した場合も含めて検討している。
(注29) 一連の議論は, 「実行行為」概念をどう理解するかという問題とも関連していると思われる。すなわち,刑法の条文上は. 「実行」という語はあり,重要な怠味を持っているが(未遂犯の43条,共犯の60-63条), 「実行行為」という詰があるわけではなく, 「実行行為」概念を否定する有力説もあった(山口厚「刑法総論」初版(平成13年) 45頁)
「実行行為」の通説的定義は, 「構成要件に該当する行為」(団藤重光「刑法綱要総論」第3版(平成2年) 139頁)であるが「むしろ,原則として既遂結果発生の具体的危険すなわち未遂結果と相当因果関係を有する行為と定義されるべきであろう」という見解もある(西田典之「刑法総論」(平成18年) 78頁)。前者の定義によれば「姿態をとらせ」る行為は実行行為であることは明らかであるが,後者の定義によれば,評価が分かれる可能性がある。しかし, 3項製造罪には未遂処罰規定はないのであるから,実行の着手の関係で「姿態をとらせ」る行為が「実行行為」か否かに特に意味はなく,共犯の関係でも,それほど実益があるとはいえないように思われる。結品,本件の関係では, 「姿態をとらせ」る行為は,構成要件に該当する「行為」であることさえ押さえておけばよいようにも思われる。
東京高裁平成17年判決も正にそのような判示をしていると読める。