児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

ハメ撮りの児童買春罪+3項製造罪の事案で、性行為+撮影の対価が合算されている場合の処理について

 ちょっと地裁で注意喚起したら、各地裁でまちまちの反応になりました。

 罪数面では児童買春罪と3項製造罪は別個の行為といいながら、対価の点では両行為を区別できないというのですよ。
 理論上は約束内容として「性行為の対価はゼロ円、撮影の対価は○万円」と明確に決めていれば、児童買春罪ではなく青少年条例違反になりますから、処断刑期の上限は5年(児童買春罪なら7年6月)ということになりますが、なかなかそうは行かないと思います。


地方裁判所平成25年
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
判決
理由
【犯罪事実】
被告人は,
第1
平成24年月日,K市所在のHOTEL号室で,A(当時13歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,
1 対償として現金4万円を供与する約束をして同人と性交し,もって児童買春をした。
2同人に,被告人と性交するなどの姿態及び被告人が同人の性器等を触る姿態並びに乳房等を露出させる姿態をそれぞれとらせ,これらをデジタルカメラで撮影して,その動画データ5画像及び静止画データ10画像をそのカメラに装着された電磁的記録媒体であるSDカードに記録して保存し,もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。

第2〜第4 省略

弁護人は,犯罪事実第1の1,第2の1及び第3の1の各児童買春罪について,各公訴事実記載の対償額には,いずれも被害児童を写真撮影することへの対価が含まれているので,その分は対償額から除外すべきである旨主張する。
確かに,被告人の供述などによれば,これらの犯行において,被告人は,被害児童が写真撮影に応じることを考慮して被害児童に支払う金額を決めていると認められるが,いずれの犯行においても性交と写真撮影は同一機会に一連の行為としてなされている上,中核的な行為はもとより性交であって,写真撮影はそれに付随する行為であるとみるのが相当であることなどからすると,各犯行において被告人が被害児童らに供与を約束し,あるいは供与した現金は,全額性交の対価と認めるのが相当である。よって,対償額については,公訴事実どおり認定する

某地裁平成24年
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童買春等処罰法」という)違反被告事件
判決
被告人 
主文
(犯罪事実)
被告人は,
第1 平成23年月日午前10時24分ころから同日午後零時30分ころまでの間,「」号室において,A(当時14歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に対し,撮影を伴う性交等の対償として現金6万5000円を供与する約束をして,同児童と性交し,もって児童買春をした。
第2〜第5
省略

なお,弁護人は,第1,第2,第4,第5につき,それぞれの対償額から撮影の対価である1万円を控除すべきであるから、性交等の対償はいずれも5万5000円と認定すべきであると主張するが,もともと,被告人は,いわゆる援助交際すなわち女性児童の性を買う目的で金銭を支払う意図を持っていたのであって,前記各犯行において,被告人が被害児童らに対して撮影させてほしいと依頼しているのは,援助交際の内容であるそれぞれの被害児童との性交を含む行為の場面を記録することを目的とするものに他ならず,性交を含む行為の場面を除いて記録することを目的とはしていないと認められるから,対償として供与することを約束した金額がどの範囲の行為を対象に含んでいるかを判断するに当たり,撮影を前記性交等と切り離して評価するのは相当でなく,撮影を伴う性交等の対償として前記各犯罪事実の金額を供与する約束をしたものと認定すべきである。
弁護人の前記主張は採用することができない。