児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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青少年に対する「わいせつ行為」の合憲性

 「淫行」については、福岡県青少年条例の大法廷判決の合憲限定解釈がありましたが、「わいせつ行為」については判例がなかったのですが、埋めておきました。
 わいせつについても限定解釈するということです。

最決
弁護人奥村徹の上告趣意のうち,青少年愛護条例(昭和38年兵庫県条例第17号) 2 1条1項の規定について憲法31条違反をいう点は,上記規定が所論のように過度に広範な規制であるとも,不明確であるともいえないから,前提を欠き,その余は,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
よって,同法414条, 386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
平成23年12 月9 日

原判決 大阪高裁H23.6.28
第2 法令適用の誤りの主張について
1 違憲の本条例を適用した法令適用の誤りの主張(控訴趣意第1,第2)について
(1)主張の要旨
 ア 青少年に対するわいせつな行為を規制する本条例21条1項は,13歳以上,特に婚姻適齢以上の青少年とその自由意思に基づいて行うわいせつな行為についても,それが結婚を前提とする真摯な合意に基づくものであるような場合を含め,すべて一律に規制しようとするものである。しかし,同条項は,処罰の範囲が不当に広汎にすぎるし,同項にいう「わいせつな行為」の範囲も不明確であって,広く青少年に対するわいせつな行為一般を検挙,処罰するに至らせる危険を有するものであるから,憲法31条に違反する。したがって,原判決第1の行為について,憲法違反の同条項を適用した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある(控訴趣意第1)。
 イ 性交及び性交類似行為は,「みだらな性行為」に該当すると解されている上,本条例21条1項は,「わいせつな行為」と「みだらな性行為」とを選択的に規定している。
したがって,同項にいう「わいせつな行為」は,性交及び性交類似行為を除いた行為で,最高裁大法廷昭和60年10月23日判決・刑集39巻6号413頁(以下「昭和60年最高裁判決」という。)と同じ限定解釈を加えた「性的な意味を有する行為」をいう。
原判決は,このような憲法に適合する限定解釈をせずに原判決第1の事実をわいせつな行為として有罪とした点で,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある(控訴趣意第2)。
(2)当裁判所の判断
 ア 控訴趣意第1について
 しかし,わいせつな行為を処罰の対象とする本条例が憲法31条に違反しないものであることは,昭和60年最高裁判決の趣旨に徴して明らかである。すなわち,もともと,わいせつ行為とは,いたずらに性欲を興奮又は刺激させ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいうものであり,その内容が不明確であるとはいえない。
また,本条例にいう「わいせつな行為」についても,あらゆる性的行為がこれに含まれるものと解すべきではない。本条例は,何人も,青少年に対し,みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない(本条例21条1項)と定めているが,ここにいう「わいせつな行為」についても,本条例が青少年の健全な育成を図り,これを阻害するおそれのある行為から青少年を保護することを目的とする(本条例1条)ことからみて,性的な行為のすべてを禁止する趣旨とは考えられない。この点は,昭和60年最高裁判決がいわゆる淫行条例(福岡県青少年保護育成条例)に定める淫行について加えたのと同様の限定を付して解釈されるべきである。
そうすると,弁護人がいうような結婚を前提とする真摯な合意に基づくものであるような場合までこれに当たるとはいえない。以上のとおり,上記条項が犯罪構成要件として不明確であるとはいえず,憲法31条に違反するものでないことが明らかである。
 イ 控訴趣意第2について
 性交及び性交類似行為は,本条例21条1項にいう「みだらな性行為」にも「わいせつな行為」にも該当することは明らかである。昭和60年最高裁判決において,「みだらな性行為」が同判決の示す限定解釈をした性交及び性交類似行為をいうと判示され,同項において,これと「わいせつな行為」とが選択的な関係にあることを表す「又は」の文言で結びつけられているからといって,性交及び性交類似行為が「わいせつな行為」から除外されることにはならない。そして,原判決は,わいせつな行為があらゆる性的行為を含むものではないことに関し,特に説示するところはないものの,本件犯行は,その経緯,態様等に照らし,被告人及び共犯者が被害者を単に自己の性愛的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交類似行為の事案であり,わいせつな行為に当たることが明らかである。そうすると,原判決が,弁護人の主張するような限定解釈をする旨を明示していないからといって,限定解釈していないとはいえず,弁護人がいうような憲法違反の判断とはいえない。

 共犯の関係で、今月末にも同旨の判決が出る予定です。