児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

全く発達していない幼児や男性の陰部や乳房を着衣の上から触れた場合については強制わいせつ罪不成立(条解刑法第2版)

 φ( ̄ー ̄ )メモメモ
 児童ポルノについては、乳児は性欲刺激要件のせいで児童ポルノ性が弱まるという話をするのですが、強制わいせつも成立しにくくなるそうです。

 もっとも、実務感覚としては成立。ゼロ歳の強制わいせつの判決もありますし。
 保護法益を主観的な権利侵害とすると、乳児は不成立とも言えそうです。

条解刑法第2版P466
具体的行為
わいせつな行為の具体例としては,陰部に手を触れたり,手指で弄んだり,自己の陰部を押し当てることや,女性の乳房を弄ぶことなどである。
陰部や乳房を着衣の上から触れた場合については,単に触れるだけでは足りず,着衣の上からでも弄んだといえるような態様であることが必要であるから,厚手の着衣の上からという場合は,薄手の着衣の上からという場合より,強い態様のものであることを要しよう(薄手の着衣の上からの場合につき肯定した例として,名古屋高金沢支判昭36・5・2)。なお,乳房が未発達な女児に対する場合であっても,社会通念上,性的感情の侵害があるといえるから,わいせつ性は肯定されるが,全く発達していない幼児や男性の場合には否定されよう(大コンメ2版)

実務家の意見は↓

判例コンメンタール第2巻P294
性的に未成熟な7歳の女児の乳房を撫で回す行為も該当する(新潟地判63・8・26判時1299号152)。この裁判例は、被案児童自身の性的しゅう恥心、嫌悪感に言及しているが、客観的にみて、わいせつと感じられる行為であれば、わいせつに当たるとすべきである(山中・各論ⅠP139)。

新潟地方裁判所判決昭和63年8月26日
判例時報1299号152頁
 (強制わいせつ罪の成否について)
 弁護人は、「小学校一年生の女児は、その胸(乳部)も臀部も未だ何ら男児と異なるところなく、その身体的発達段階と社会一般の通念からして、胸や臀部が性の象徴性を備えていると言うことはできず、かかる胸や臀部を触ることは、けしからぬ行為ではあるが、未だ社会一般の性秩序を乱す程度に至っておらず、また、性的羞恥悪感を招来するものであると決め付けることは困難であるから、被告人の本件行為をもってわいせつ行為ということはできず、従って、被告人は無罪である。」旨主張する。
・・・
右認定事実によれば、右A子は、性的に未熟で乳房も未発達であって男児のそれと異なるところはないとはいえ、同児は、女性としての自己を意識しており、被告人から乳部や臀部を触られて羞恥心と嫌悪感を抱き、被告人から逃げ出したかったが、同人を恐れてこれができずにいたものであり、同児の周囲の者は、これまで同児を女の子として見守ってきており、同児の母E子は、自己の子供が本件被害に遭ったことを学校等に知られたことについて、同児の将来を考えて心配しており、同児の父親らも本件被害内容を聞いて被告人に対する厳罰を求めていること(E子の検察官に対する供述調書、B子の司法警察員に対する供述調書及びD作成の告訴状)、一方、被告人は、同児の乳部や臀部を触ることにより性的に興奮をしており、そもそも被告人は当初からその目的で右所為に出たものであって、この種犯行を繰り返す傾向も顕著であり、そうすると、被告人の右所為は、強制わいせつ罪のわいせつ行為に当たるといえる。
 従って、弁護人の主張は採用できない。