児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノを公然陳列・提供しても、個人的法益は重視されない↑→

 上図のように氏名不詳の児童の裸体写真を掲載して、
 1 「こいつらは、淫乱な少女である」
 2 「こいつらを殺します」
 3 「こいつらの児童ポルノをさらします」
と説明した。
 罪責については、

 1の書き込みについては、両児童に対する名誉毀損罪(2罪)が成立し、後は罪数処理。
 2の書き込みについては、両児童に対する脅迫罪(2罪)が成立し、後は罪数処理。
 3の書き込みについては、児童ポルノ公然陳列罪が成立し包括一罪。

となる。(判例
 氏名不詳でも処理は変わらない。

第230条(名誉毀損) 
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
第222条(脅迫) 
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

第7条(児童ポルノ提供等)
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

 裸体をさらすという同じ行為形態であっても、軽い名誉毀損や脅迫の関係では被害者として1人1罪になるのに、重い公然陳列罪では、被害者性は捨象されて、包括一罪になる。
 これは、児童ポルノの個人的法益性をあまりにも軽視しているのではないか。