児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

川出敏裕「いわゆる「かすがい」理論」(刑法判例百選Ⅰ第6版P213)

 仮に児童淫行罪と児童ポルノ製造罪がかすがいで科刑上一罪になる場合(奥村は併合罪説ですが)、児童淫行罪を家裁、製造罪を地裁に起訴すると、
1 二重起訴になって、後の起訴は無効になる
2 児童淫行罪の方が重いから全体が家裁管轄になって(少年法37条2項)、地裁は管轄違になる
3 どちらかの判決が先に確定すると、後の事件は、一事不再理免訴になる
という重大な手続瑕疵が出てきます。
かすがい部分を除いて起訴しても、公訴事実は同一だから結論は同じ。
 量刑以前の問題だから、なんぼ原田國男さんでも、それを量刑の問題で解決できないと思うのです。
 しかも、起訴検察官はかすがいになることを知らないで家裁と地裁にわけて起訴しているし、控訴審で、家裁事件も地裁事件も両方破棄減軽しているのに、その方が被告人に有利だなんて言えるのかな?

刑法判例百選1総論(第6版) 別冊ジュリスト189

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川出敏裕「いわゆる「かすがい」理論」(刑法判例百選Ⅰ第6版P213)
判例にも,かすがい作用により実体法上は科刑上一罪の関係にある,児童ポルノ製造罪と児童淫行罪につき,検察官が,かすがいとなる部分の罪を除外して併合罪として起訴した事案につき,それが,実際の量刑においては,被告人にとって一般的に有利であることを指摘したうえで,検察官の措置を適法としたものがある。(東京高判H17.12.26)