児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「DVD購入者に“刑事責任”」新手の架空請求増加、弁護士かたる。

 購入者共犯説は奥村説なんですが、たとえ購入行為が共犯だとしても、このNPOが請求できる理由がないから、詐欺+恐喝でしょうね。
 児童ポルノなんて単純所持罪が検討されているくらいで、購入行為も違法だと考えています。
 現行法では、違法性の程度が販売者より低くて、可罰性が乏しいので通常の関与形態では処罰されないのだと思います。
 高裁那覇支部と大阪高裁のそういう判断があります。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080106AT1G2804M05012008.html
「DVD購入者に“刑事責任”」新手の架空請求増加、弁護士かたる
 法律事務所や非営利組織(NPO)を装い「わいせつDVDを販売していた業者が検挙され、購入者のあなたも共犯で刑事責任を負う」との文書を送りつけ、弁護士費用などを要求する架空請求についての相談が、各地の消費生活センターなどに寄せられている。民事訴訟を名目にした架空請求はこれまで頻発していたが、刑事事件を利用した例が確認されたのは初めて。

 国民生活センターによると、昨年12月上旬以降、甲信越南関東、近畿など全国の消費生活センターに同様の相談が寄せられている。(07:02)

福岡高裁那覇支部刑事部H17.3.1
所論は要するに,児童ポルノ販売罪は,買主との必要的共犯・対向犯であって,買主の買い受け行為の法益侵害,違法性は可罰的,当罰的であるにもかかわらず,売主のみを処罰するのは,法の下の平等憲法14条)に違反するから,児童買春法の児童ポルノ販売罪の規定は違憲,無効であり,同規定を適用して被告人を有罪とした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというにある。

しかし,買主の買い受け行為にも法益侵害,違法性があるとはいえるが,売主の販売行為の違法性,法益侵害性が強度の可罰性,当罰性を有するのと比較して,前者の法益侵害,違法性の可罰性,当罰性は微弱であるから,販売行為のみを処罰の対象とし,買い受け行為を処罰の対象としないことが憲法14条に定める法の下の平等に反しないことは明らかである。論旨は理由がない。

阪高裁H18.9.21
論旨は,児童ポルノ提供罪は買い主との必要的共犯又は対向犯であって,買い主の買受行為にも法益侵害があるにもかかわらず,提供者のみを処罰するのは法の下の平等憲法14条)に反するものであり,同罪にかかる規定は無効である,したがって,同規定を本件に適用した原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の解釈適用の誤りがある,というのである。

しかしながら,児童ポルノを提供してこれを積極的に拡散した者と,これを購入したにすぎない者との間では,児童の権利の擁護という立法趣旨から見て,その当罰性に差があることは当然であり,児童ポルノの提供者のみを処罰する同罪の規定は合理的なものといえるから,これが法の下の平等憲法14条)に反するとは解されない。

この論旨も理由がない。