被告人匿名というのは、起訴状には氏名等で特定されているのを法廷で読まないだけなので、被害者匿名よりも問題は少ないですよね。氏名黙秘という被告人もいますし。
水戸は被害者匿名の起訴で慣らされているからか。
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水戸地裁 被告匿名裁判相次ぐ 性犯罪の被害者保護
識者 乱用懸念、防御権侵害も
犯罪被害者の保護を図るため、県内の裁判で被害者だけでなく、被告まで匿名にするケースが相次いでいる。公開の法廷で被告の氏名や住所、職業、年齢など人物を特定する人定事項を伏せるのは異例。水戸地裁管内では昨年1年間で、少なくとも3件の匿名裁判が行われた。識者は、匿名裁判は今後増える可能性があるとの見方を示す半面、乱用は危険と指摘する。■「被告人A」
水戸地裁で昨年11月、養女にわいせつな行為をしたとして、強制わいせつ罪に問われた男の裁判が開かれた。男の名前は「被告人A」とされた。
「被害者だけでなく被告の名前も秘匿する必要がある。自分の名前や住所を口にしないように」
初公判の冒頭、裁判官は男に対し注意を促した。検察側は人定事項が書かれた起訴状を男に直接見せ、本人確認した。
18歳未満の被害者とみだらな行為をしたとして、同地裁土浦支部で昨年12月に判決が言い渡された県青少年健全育成条例違反の罪に問われた男の公判でも、男の氏名は伏せられた。男が被害者の「父親代わり」だったためだ。
さらに、水戸地裁で同月、同条例違反の罪に問われた男女2人の裁判では、被害者の実の母親の女が「被告人A」、母親の知人の男が「被告人B」とされた。この女は、男と娘のわいせつ行為を促していた。
3件はいずれも「身内」が絡んだ性犯罪裁判。被告の人定事項を明らかにすれば被害者の特定につながるケースだった。
同地裁で被告匿名の動きは、2014年ごろ始まった。同年10月の強姦(ごうかん)事件の裁判で、被告となった被害者の養父の氏名などが伏せられた。
最高裁によると、被告匿名に関する統計は取っておらず、件数など詳細は不明という。
刑事訴訟法は、性犯罪などの被害者をプライバシー侵害などの「二次被害」から守るため、裁判所は被害者特定事項を法廷で明らかにしないことができると規定している。
同地裁や水戸地検によると、被告の秘匿は地検が被害者の要望に基づいて地裁に申し入れ、弁護側の了承を得て、地裁が決定している。
■増加を予想
公判での被害者匿名化は浸透しつつあるが、識者は今後、被告匿名も増えると予想する。
常磐大大学院の諸沢英道教授(被害者学)は「公開裁判は犯罪者が不正に裁かれないように民衆が監視するためのものであり、民主主義の原点。被害者匿名が進む中で、便乗したように被告までも匿名にすることが慣行化すると危険」と危惧する。
その上で、諸沢教授は「匿名に関し、欧米では被害者への影響について児童相談所など第三者の意見を聞いている。(日本でも)客観的な意見として、第三者の意見が必要なのでは」と指摘する。
茨城大の陶山二郎准教授(刑事訴訟法)は「被告の秘匿を安易に原則とするのは、被害者保護の一人歩きになる恐れがある。争いがあった場合などに、被告の防御権を侵害する可能性もある」と懸念を示している。(関口沙弥加)
★被告匿名
刑事訴訟法290条の2は、当該事件の被害者などから申し出があるとき、裁判所が被告または弁護人の意見を聞き、相当と認めるときは、被害者特定事項(氏名、住所、その他)を公開の法廷で明らかにしないよう決定できると定める。水戸地裁などによると、被告匿名もこの一環として行っている。