財産犯ですので、被害弁償が重視されます。
実刑はないと思います。
http://www.nikkansports.com/general/news/1570908.html
<板倉宏氏の目>
長く法曹界に関わってきたが、「精神的に不安定」といった理由で被告人が当日に出廷をドタキャンするケースは初めて聞いた。
裁判所が「正当な理由」と認めないまま欠席を続けることは刑事訴訟法では許されない。もし、次も出廷を拒否するようならば、裁判所の判断で「勾留状」によって、刑事施設に身柄を拘束することもできる。これは被告が逃走したり、証拠隠滅を図る恐れがあると判断した場合に適応される。
さらに、今回の欠席は裁判官の心証にも影響し、判決を左右するものになる。被告は詐欺と虚偽公文書作成・同行使の罪で在宅起訴されたが、これで3年の実刑はほぼ確実。執行猶予の可能性もあったが、それもなくなるのではないか。子供のように駄々をこねても、社会では通用しない。取り返しのつかないドタキャンで、この日の代償はあまりに大きい。(刑法学者、日大名誉教授)
量刑実務体系3 p195
川合昌幸 (2) 法廷での態度
ア被告人が法廷で不遜な態度をとったこと. あるいは. 殊勝な態度に終始したことを量刑上考慮してよいかについても. 学説は概して否定的であるといってよいと思われる。ただ. 松本時夫元判事は.「可罰性の度合の評価の幅の中での裁量が. どのような観点からどのような事情を考慮、して行われるべきかについては. 実務上も必ずしも明確となっていない。裁判官によってかなりのばらつきもある」として, 被害感情の宥和など一般に情状としてあげられているものを指摘した上で.「被告人の法廷内での態度……も全く影響しないとはいえない」とされる66) 67)。
イ私見
被告人の法廷での態度は. まず. 被告人の反省悔悟の情の有無を推し量る資料となるものと考えられる。さらに. 法廷での態度は. 被告人の法秩序全般に対する対処の仕方を推認する資料ともなるというべきであろう。その意味において, 被告人が法廷で通例ではみられないような不遜な態度をとっている場合. あるいは. 審理を妨害するような挙に出た場合には. 被告人が犯行を反省悔惜していないこと. あるいは. 法秩序を軽視していることが推認され, 特別予防の必要性が高いとして最刑上不利益に扱われる場合があるのはやむを得ないというべきであろう。68)66)松本・量刑の実務13頁。石丸俊彦ほか『刑事訴訟の実務下〔新版)」」(新日本法規出版.平成17年) 12頁〔石丸俊彦〕も「被告人の訴訟に対する姿勢や態度.法廷での言動などもまた.量刑上参考となる事柄である」とする。
67)前掲注64) 東京高判昭57.10.29は.原審の量刑を維持するに当たり、同被告人は原審公判廷において,他の被告人らと同調して.再三出廷を拒否し裁判長の訴訟指揮に従わず再三退廷させられたり.監置の制裁を科せられるなど.激しい法廷闘争を続けてきたものであること」と判示している。
68) もっとも.川崎・体系的量刑論239頁の「被告人は.慣れない状況に置かれて,通常.心理的にも肉体的にも疲労しており.そのために誤った対応をしがちであるということが考慮されなければならない」との指摘は.本文とは異なった文脈においてのものではあるが,被告人の態度から反省心の有無等を推認するに当たり.忘れてはならない視点点であろう。