児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

自身の裸の動画を課金型写真共有アプリで公開し、児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列)容疑で書類送検された大阪市の高校1年の女子生が検挙された話

 新聞記者は問題視していませんが、京都府児童ポルノの規制等に関する条例11条による心身に有害な影響を受けた児童に対する支援が実施されていないような感じですね。

http://www.pref.kyoto.jp/reiki/reiki_honbun/a3002017001.html
京都府児童ポルノの規制等に関する条例
(心身に有害な影響を受けた児童に対する支援)
第11条 府は、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、関係機関と連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長し、生活することができるよう、相談体制の充実を図ること等により必要な支援を行うものとする。
2 府は、前項の支援のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、必要な支援を行うものとする。
逐条解説
【解説】
 本条は、本条例第1条の目的を達成する上での「府の責務」のうち、被害児童の支援について特別に規定したものである。
 子どもの時に受けた性的被害は、その子どもの将来や人生のあり方に深刻なダメージを与えるものであり、児童ポルノの被害をなくしていくという観点においても、最優先事項として被害に遭った児童の支援を充実させることが重要であることを明記したものである。
 被害児童の支援に当たっては、児童ポルノ被害に関する相談については、被害者自身からなかなか言い出しにくい面があるので、身近な専門相談窓口を設置し、あらゆる機会をとらえて広く周知に努めるなど、気軽に相談しやすい環境をつくることが大切である。
 あわせて、相談に際して二次被害(被害後に周囲の言動によってさらに傷つけられてしまうこと)が生じることがないよう十分配慮するなど、安心して相談できる環境をつくることも大切である。
 また、子どもは家族の一員であり、被害児童の支援においては、保護者も含めて家族に対するサポートができる体制も必要である。
【具体的な取組方策】
 専門的な知識に基づく迅速かつ適切な支援(助言・指導・一時保護・施設入所など)が行えるようにするなど、相談体制の強化を図るとともに、保護者も含めて家族に対するサポートができる体制づくりを検討していく。
 家族に対するサポートとは、例えば、「自分の子どもが児童ポルノ被害を受けたのは、自分が親としての責務を果たしていなかったから」等と自分を責めるケースも想定されることから、児童と同様、心に傷を負った家族に対しても助言・指導等のサポートを行おうとするもの。
また、保健所や市町村、警察、学校などの関係機関との相互の連携・協力により、家庭支援総合センターを中心に被害児童支援のためのネットワークを府域全体に拡げるとともに、(社)京都犯罪被害者支援センター等の民間支援団体との連携も強化し、個々のケースに応じたきめ細やかな支援体制の構築についても検討していく。

http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/syuzainote/2015/150617.html
「フォロワー(視聴者)数が増えるのが楽しみだった」。自身の裸の動画を課金型写真共有アプリで公開し、児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列)容疑で書類送検された大阪市の高校1年の女子生徒(15)は、京都府警捜査員に対し、短文投稿サイト「ツイッター」のフォロワー獲得だったと動機を語ったという。裸の動画は少なくとも約660人にダウンロードされた。手にした報酬は約1万円相当のギフト券のみだった。
 より過激な内容を求めて女子生徒をあおったフォロワーたちにも問題がある。視聴者獲得のため、エスカレートして自身の裸を公開するケースは、動画投稿サイトのニコニコ生放送やFC2動画などのSNSでも見かける。一時の過ちはネット上から消えずに、掲示板などにコピーされ、貼り続けられる。だからこそ、自己責任や精神的な未熟さだけで済ませてはならない。
 警察庁によると、全国でSNSを手段とし児童買春・ポルノ禁止法違反事件などの被害に遭った児童は2014年で1421人、うちスマホ使用者は1118人。11年の11人から急増した。京都府警が5月に摘発したネット上の派遣型売春クラブに登録していた15〜20歳の少女らも、SNSを通じて勧誘されていた。
 京都府内で昨年SNSなどを通じて被害にあった小中高生17人のうち全員がスマホを使用していた。性的暴行を受けたケースもあったという。
 援助交際を意図する書き込みなどを探し生徒を補導する府警のサイバー補導で、昨年は8人を補導した。ただ、府警少年課の冨田明信次席は「ネット環境が手元にあり、いつでもアクセスできる。被害数は右肩あがりで、氷山の一角だろう」と分析する。
 中高生にとって性が売り物になるという認識はある一方で、ネットでの消えない傷痕の深さを捉えられていない。SNSに書き込んだ個人情報や位置情報を埋め込んだ写真の投稿は、匿名投稿のつもりでも、組み合わせれば個人の特定につながる恐れがある。悪意を持った人間に情報を開示しているネットの怖さを教える必要がある。
 府警や教育機関では生徒だけでなく、保護者への情報モラル教室や携帯教室も開催している。子どもたちを守るために、まずは大人たちが学び、伝えなければならない。
[京都新聞 2015年6月17日掲載]