児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

何があっても被害者に落ち度はない。偏見を捨て、非難せず責めないことを心掛け被害者に接してほしい by 沖縄県警

 実際の刑事事件では、ほとんどの性犯罪の判決で量刑理由において「被害者の落ち度」が検討されていて、「落ち度がない」「落ち度とまでは言えないが軽率な面がある」「軽率な点があるが重視すべきではない」「落ち度がある」などと、多かれ少なかれ考慮されています。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-199727-storytopic-1.html
偏見捨てケアを 性犯罪 被害者支援強化へ
2012年11月28日
性犯罪被害対策教室で県警担当者らの話に熱心に耳を傾ける学生ら=27日、与那原町の沖縄看護専門学校
 10月の米海軍兵による集団女性暴行致傷事件など女性への性的暴行事件が県内で相次ぐ中、事態を重くみた県警は27日、被害者ケアの一翼を将来担う看護師を志す学生を対象に、被害者との接し方などを学んでもらう性犯罪被害対策教室の取り組みを始めた。性犯罪被害者への偏見をなくすことや被害者ケアの望ましい在り方を広めることなどが目的で、初めて開催した。
 27日、与那原町の沖縄看護専門学校で講話した県警担当者は「何があっても被害者に落ち度はない。偏見を捨て、非難せず責めないことを心掛け被害者に接してほしい」と呼び掛けた。
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 同じく被害者支援を担当する県警の新垣幸正さんは「どこでどんな身なりをしていようが被害者に落ち度はない。被害者を苦しめている偏見を払拭(ふっしょく)しなければならない」と話し「身近な人が被害に遭ったことを知った場合は早めに医療機関での診察や、警察・支援団体への相談をしてほしい」と促した。
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 性的犯罪を含めた事件・事故に関する相談は県警(電話)098(863)9110。

岡山地方裁判所平成24年3月23日
(量刑上特に重視した事情)
 量刑上重視すべき判示第1の犯行についてみると,被告人は,被害者が助けを求めていることを意に介さず,長い時間力一杯被害者の首を絞め続けて殺害した上,姦淫したものであり,その犯行態様は被害者の人格を無視したものであって,偶発的な犯行であることを考慮しても悪質である。被害者には何の落ち度もなく,本件犯行に至った動機は身勝手である。出稼ぎのために来日したにもかかわらず,わずか二十歳にして突然交際相手から殺害された被害者の恐怖感,絶望感及び無念さは察するに余りある。また,殺害後に被害者の首をねじり,包丁で腹を切り裂いて,心臓を突き刺すなどした行為は,死者に対する畏敬の念の全く感じられない極めて残虐なものであり,被害者の現金を盗み取り,無免許で無謀運転を行って逃走したことも身勝手というほかない。

大分地方裁判所平成24年3月14日
(量刑の理由)
1 被害結果等
  被害結果は,極めて重大である。被害者は,本件当時28歳と若く,小学生のときから憧れていた看護師として働き,家族や友人,同僚に愛されて,可能性に満ちあふれた人生を送っていた。被害者には,何ら落ち度がなかった。それなのに,突然の暴力により,被害者は,その尊い人生を終えることを余儀なくされた。

福岡地方裁判所平成24年1月12日
(量刑の理由)
  被害者は,深夜,知人に呼び出されて,安易に被告人らと行動を共にしており,不用意な面があったことは否定できないが,被害者は当時14歳であり,また,そもそも被害者を本件現場まで引き連れて,友人から言葉巧みに引き離したのは,被告人らであり,被害者に被告人の刑事責任を軽減するような落ち度は認められない。被害者に対する慰謝の措置はとられていない。

神戸地方裁判所姫路支部平成22年2月5日
3 もっとも,今回の事件については,次の事情も考慮する必要がある。
 (1) 被害者に前記のような重大な被害に遭わなければならないいわれはなく,被害者に落ち度があるとは決していえないものの,事件以前からの被害者の被告人に対する言動が,被告人の誤解を招いたり,怒りを誘発したりしている側面も否定はできないこと。

宇都宮地方裁判所平成21年6月4日
   これに関連し,弁護人らは,被害者らがいずれも公序良俗違反の援助交際目的の女性であり,おおむね性交については同意をし,被害前に性的な行為を既に行っていたことなどを被害者らの落ち度として主張しているので一言する。
   前記のとおり,被告人らが,警察に発覚することを妨げるために,援助交際目的の女性にわざわざ狙いを定めて行った狡猾な一連の犯行であること,また,そもそも被告人らの行為がいわゆる児童買春行為ともいうべき18歳未満の被害者もいることに照らせば,本件においては,被告人らの行為の悪質さが格段に高いというべきである。本件各被害者に,深夜男性の自動車に一人で乗車するなど軽率な点はあるにしても,弁護人らのいう,援助交際目的であったことなどを被害者の落ち度とまですることはできない。

東京地方裁判所判決平成21年2月2日
さらに,被害者は,以前に偶然出会って電話番号を教えただけで名前も知らない被告人の呼び出しに応じ,被告人が虚言により自宅に誘い入れようとしているのを察知し,性的被害を受けるおそれを感じながら,「まあ,いいや。大丈夫だろう。」と軽信して中に入った結果本件被害にあったものであり,このような行動は,その年齢を考慮しても,なお軽率な面があったことは否定できない。