児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

売春周旋・児童買春周旋500件?の事案

 児童淫行罪は児童ごとに包括一罪ですが、売春周旋罪や業としての児童買春周旋罪は、児童数に関係なく包括一罪になるんですよね。かすがい効果が期待できます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100823-00000027-kana-l14
県警によると、横浜市職員の容疑者らは、無職の男性容疑者が運営するサイトを通じて客として女子中学生らの紹介を受け、買春を行っていたという。
 逮捕容疑は、横浜市職員の容疑者は無職の男性容疑者に3万1千円を払って昨年12月23日ごろ、横浜市内のホテルで同市在住の私立高校2年の女子生徒(17)に対しみだらな行為をした、などとしている。調べに対し、横浜市職員の容疑者と1人は否認、ほか4容疑者は容疑を認めているという。
 同課によると、無職の男性容疑者は約5年前から自己紹介サイトなどから買春をする女の子を集め、別のサイトで募集した客に紹介。同容疑者は「これまでに500人ぐらいの女の子を紹介した。これまでに計約2千万円以上稼いだ」などと供述。少女にはお金はまったく支払われていなかったという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100823-00000082-mai-soci
容疑者の逮捕容疑は5月22日、ネットの掲示板で知り合った中3女子(15)を会社員の男(49)に引き合わせ3万円でみだらな行為をさせるなどしたとされる。「5年前から12歳の小学生から28歳の約500人を紹介し、2000万円以上稼いだ」と供述しているという。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100824/crm1008242102022-n1.htm
同課によると、大学卒業後に職を転々とした容疑者は、5年前、得意のパソコンを使って社会問題だった児童買春で「ひと稼ぎできる」と思いついた。携帯電話向けサイトで少女のメールアドレスを見つけては「いいバイトがあるよ」と誘い、応じた少女にプロフィルと写真を登録させた。
 一方で援助交際相手を探す掲示板に書き込みをした男らに「かわいいJ(女子高生)やC(中学生)がいる。会員制なので安心して遊べますよ」とメールを送り、返信した男らに買春クラブのアドレスとパスワードを送っていた。
 客の男らには前日までに架空口座へ買春代を振り込まさせて、待ち合わせ場所をセッティングしていた。少女らに報酬は「4〜5回分まとめて支払う」と説明しつつ、音信不通になる手口で全額を横取り。県警に別の事件で補導された少女が、ヤリ逃げ被害を訴えたことから被害が発覚した。
 捜査幹部は「被害者の多くは女子中学生から高校生で、『12歳の小学生もいた。これまでに500人を紹介した』と供述している。容疑者の連絡手段はすべてメールで済ませ、客と少女には一度も直接会うことはなかった」と話している。

阪高裁平成21年5月14日
第2 控訴趣意中,法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反の主張について
論旨は,要するに,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律5条2項違反の罪(以下「児童買春周旋を業とする罪」という。)は,児童福祉法60条1項違反の罪(以下「児童に淫行させる罪」という。)の特別法に当たるから,児童買春周旋を業とする罪が成立する場合には同罪のみが成立し,児童に淫行させる罪は成立しないと解されるところ,本件にあっては,児童買春周旋を業とする罪が成立していると考えられるから,児童に淫行させる罪は成立しないのに,同罪の成立を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり。また,児童買春周旋を業とする罪の事物管轄は地方裁判所であるかち,家庭裁判所である原審が審理したのは不法に管轄を認めたものであって,訴訟手続の法令違反(刑訴法378条1号の絶対的控訴理由)があるというのである。
そこで,記録を調査して検討するに,児童に淫行させる罪と児童買春周旋を業とする罪とは,互いにその処罰根拠を異にし,規制態様にも差異があることからすると,事実が両罪の刑罰法規に触れる場合にはいずれの刑罰法規も適用されるという関係にあり,児童買春周旋を業とする罪が成立する場合に児童に淫行させる罪の刑罰法規が適用されないというような関係にはないと解される。
したがって,児童に淫行させる罪の成立を認めた原判決に法令適用の誤りはなく,また,家庭裁判所である原審が審理したことが不法に管轄を認めたことになるものでもない。論旨は理由がない。