児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

龍谷大学教授 金 尚均 わいせつ物販売と同販売目的所持が包括一罪であり、同販売と児童ポルノ提供、同販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持はそれぞれ同一の行為として観念的競合の関係に立ち、全体が一罪となるとした事例(最高裁判所第二小法廷平成21年7月7日決定)

 奥村が現場判断で得た結論と、学者先生が理論的に到達した結論が一致するというのは嬉しいです。

http://www.tkclex.ne.jp/commentary/pdf/z18817009-00-070440433_tkc.pdf

逆に、わいせつ物頒布罪をかすがいとせずに、児童ポルノ提供罪に主眼をおいたならば本罪はかすがいの機能を果たすことはないであろう。両罪において、必ずしも違法評価の重複があるとはいえないように思われる。数回のわいせつ物頒布罪は一罪として評価することは可能であるが、数回の児童ポルノ提供罪はそれぞれ独立して一罪として評価すべきである13)。そういったことからすると、本件判決は、両罪の社会一般的な同質性に拘るあまり、反面、罪数評価に際して、両罪の保護法益の相違を十分に考慮し尽くせていないきらいがなきにしもあらずである14)。
13) 本罪が個人的法益を保護していることに照らすと、行為者が1 人ではなく、2 人以上の児童のポルノの製造をした場合には、被写体である児童の人数に応じてそれぞれ個別に児童ポルノ製造罪が適用されると考えるべきであろう。
14) 一罪として評価されるわいせつ物頒布罪がかすがいとなって、数罪の児童ポルノ提供罪も一罪として評価する場合には、児童ポルノ処罰法の制定の意味は半減するであろう。

 でも、ここまで徹底すると、人物特定がしんどいですよね。画期的ですが。