奥村が現場判断で得た結論と、学者先生が理論的に到達した結論が一致するというのは嬉しいです。
http://www.tkclex.ne.jp/commentary/pdf/z18817009-00-070440433_tkc.pdf
逆に、わいせつ物頒布罪をかすがいとせずに、児童ポルノ提供罪に主眼をおいたならば本罪はかすがいの機能を果たすことはないであろう。両罪において、必ずしも違法評価の重複があるとはいえないように思われる。数回のわいせつ物頒布罪は一罪として評価することは可能であるが、数回の児童ポルノ提供罪はそれぞれ独立して一罪として評価すべきである13)。そういったことからすると、本件判決は、両罪の社会一般的な同質性に拘るあまり、反面、罪数評価に際して、両罪の保護法益の相違を十分に考慮し尽くせていないきらいがなきにしもあらずである14)。
13) 本罪が個人的法益を保護していることに照らすと、行為者が1 人ではなく、2 人以上の児童のポルノの製造をした場合には、被写体である児童の人数に応じてそれぞれ個別に児童ポルノ製造罪が適用されると考えるべきであろう。
14) 一罪として評価されるわいせつ物頒布罪がかすがいとなって、数罪の児童ポルノ提供罪も一罪として評価する場合には、児童ポルノ処罰法の制定の意味は半減するであろう。
でも、ここまで徹底すると、人物特定がしんどいですよね。画期的ですが。