児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

法改正を知らない場合の刑事責任

 特別法ではころころ変わるので要注意です。

 判例上、違法性の意識は故意の要素じゃないので、犯罪阻却にはなりません。
 情状面では使えると思いますが、周知期間があるし、事件以来話題にもなっているので、なかなか減軽してくれません。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/293769/
両刃ナイフは、ダガーナイフで刺されるなどして17人が死傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件を受け、ことし1月の銃刀法改正で所持が禁止された。7月5日から罰則が適用されている。
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同署によると、男性は鹿児島県奄美大島で釣りDVDの撮影をした際、魚をさばくためにナイフを持っていたという。「銃刀法の改正内容を知らなかった」と話している。

 児童ポルノでは、3項製造罪の創設をまたいで、ハメ撮りを繰り返した事案について、「改正前は適法だった。罪になるとは知らなかった」という主張がはねられています。

札幌高裁H19.3.8
所論は,①児童ポルノ法は改正され,平成16年7月8日に施行されたが,法務省のウェブサイトでも今だに旧法を広報しているのであるから,改正法は,.形式的には公布・施行されているが,実質的には公布・施行が欠けており,被告人は改正法を知らなかったから違法性の意識を欠いており,また,期待可能性も減少すると評価すべきであって,児童ポルノ製造罪につき刑法38条3項ただし書を適用して減刑すべきであり,同罪につき刑法38条3項ただし書を適用して減刑すべきである,という。
しかし,改正法が公布・施行されている以上,主務官庁である法務省のウェブサイトが本件犯行当時旧法を広報していたとしても,違法性の意識の可能性・期待可能性がないとはいえない。また,被告人は,○という立場にあり,自らの行為が社会的に不相当な行為であることや違法性の意識も十分あったと認められ,所論は採用できない