児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノできょう対案提出=購入も禁止−民主

 妙に処罰範囲を限定しようとしているところは、拡大解釈されて運用で骨抜きになるおそれがあるので、どういう趣旨なのかをちゃんと記録しておいてほしいものです。
 実質的には捕まる人は与党案と同じです。
 これで効かなければ単純所持罪が導入されるでしょうが、その場合に新たに処罰対象となる人はあまりいません。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009031900078
現行法は、児童ポルノの写真や電子データを営利目的などで他人に提供することや、提供を前提に製造・所持することを禁じている。民主案は、有償で取得する行為(購入)も禁止し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科すとしている。
 与党案は、インターネットなどで児童ポルノの画像が広く流出する懸念があるため、単純所持を禁じているが、民主党は「捜査権のらん用を招く」として、単純所持の処罰は見送った。

 早速民主党案の法文が出ていますが、法定刑の引き上げは科刑状況とかけ離れているので、実効性がないと思います。下限を上げないと量刑に影響しません。

 また、これだと、無償かつ単発で取得するのは処罰されないことになります。「ファイル交換ソフト」は「交換」なら有償になるかもしれません。

http://www.dpj.or.jp/news/files/090319child-shinkyu.pdf
(児童性行為等姿態描写物取得、提供等)
第七条 みだりに、児童性行為等姿態描写物を有償で又は反復して取得した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
みだりに、電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を有償で又は反復して取得した者も、同様とする

 被害者対策は担当部署を名指ししているのは評価できますが、児童虐待で手一杯なはずです。

(教育、啓発及び調査研究)
第十四条 国及び地方公共団体は、児童買春、児童性行為等姿態描写物の取得、提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童性行為等姿態描写物の取得、提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条 厚生労働省都道府県、児童相談所、福祉事務所、市町村その他の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童性行為等姿態描写物に描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2 前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。

(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
第十六条 国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童性行為等姿態描写物に描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等)
第十六条の二 社会保障審議会は、児童買春の相手方となったこと、児童性行為等姿態描写物に描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。
社会保障審議会は、前項の検証及び評価の結果を勘案し、必要があると認めるときは、当該児童の保護に関する施策の在り方について、厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べるものとする。
厚生労働大臣又は関係行政機関は、前項の意見があった場合において必要があると認めるときは、当該児童の保護を図るために必要な措置を講ずるものとする