放火と住居侵入は牽連犯。
分離した時には併合罪だと考えていたんでしょうね。
時事通信平成20年10月31日
同被告は火災の直前にも同事務所に侵入し、現金などを盗んだとして、建造物侵入と窃盗の罪にも問われたが、審理の途中で放火罪が分離されていた。
窃盗事件では今年2月に懲役1年2月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の有罪判決を受け、3月に確定。検察側は被告が一度事務所の外に出た時点で、建造物侵入と窃盗は完了しており、放火は別事件と主張。弁護側は「放火の手段である建造物侵入の罪は既に判決が確定、一事不再理の効力が及ぶ」として免訴、または無罪を求めていた。
もう一回侵入して放火していれば、二回の侵入は包括一罪になって、かすがい現象で科刑上一罪になっていたと思います。
一回外に出て外から放火すると併合罪というのも妙ですね。
東京高裁昭和46年 3月 8日
職権をもつて原判決の法令適用の当否を検討するのに、原判決は、被告人が大学の入学式を阻止するためその式場を破壊しようと企て、ほか数名と共謀のうえ、国立山梨大学体育館に故なく侵入したうえ、右体育館内に設置されていた入学式挙行用の紅白幕、国旗、同大学校旗などを焼燬し、よつて公共の危険を生ぜしめたとの原判示事実に対し、右建造物侵入行為と建造物以外の物件放火行為とは、通常手段結果の関係にあるとは考えられないから、牽連犯ではないと解し、両者を併合罪として処断しているのである。
しかしながら、建造物侵入罪は、侵入した建造物の中で他の犯罪を犯す手段として犯されることがきわめて多いもので、同罪の構成要件はかかることを性質上予想しているものというべく、本件の物件放火のごときも当然それに含まれていると考えられるから、建造物侵入行為と侵入した建造物内における物件放火行為とは、いわゆる通常手段結果の関係にあるものと解するのが相当であり、従つてこの両罪は牽連犯とすべきものである(昭和七年五月二五日大審院判決、刑集一一巻六八〇頁等参照)。しかるに原判決はこれを併合罪として処断したものであるから、この点に法令の適用の誤があつて、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるので、原判決は破棄を免れない。