児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性加害行為の連続体

 実刑事案を見ていると、連続性を実感しますね。

村松励「シンポジウム『性犯罪対策の今日と未来」犯罪学雑誌 第72巻3号
図1
からかい
 ↓
非接触
 のぞき
 盗撮
 性器露出
 ↓
接触
 ちかん
 わいせつ行為
 ↓
強姦
 ↓
快楽殺人

村松励「シンポジウム『性犯罪対策の今日と未来」犯罪学雑誌 第72巻3号
(2 ) 関係性の病としての性暴力
ここでは,性犯罪を,露見し,法手続きにのった性暴力と定義している。周知のように,性犯罪の暗数は極めて多いと考えられている。被害者が警察に通報するのは,実際の被害の10%くらいであると試算され,また通報されたとしても,犯人が検挙されるのは半数に満たない。司法概念としての性犯罪は,逮捕されたか否か,有罪か無罪かという二者択一であるが,心理学の立場からみると,露見しょうがしまいが,逮捕されようとされまいが, I同意なし,対等性なし,強要性あり、の性行為は性暴力として扱っていく必要がある。
起訴され,確定した性犯罪は氷山の一角であり,そこに至るまでには,非常に多くの,露見していない性暴力行動があり,ほぽ例外なし最初は比較的暴力性の低い,身体接触を伴わない性暴力行動から,適切な対応がなされない限り,次第にその暴力性をエスカレートさせているものである(図1)。
また,現実には,家庭内での妻や子どもへの性虐待,いわゆるデートレイプなど,起訴されずとも重大な性加害行為は日常生活の中に潜んでいる。心理学からみれば,性暴力は,別世界のことではない。法律的な黒か白かではなく,白から黒へとプリズムのように変化する連続体として考えたほうが,心理学的には有用である。