児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

仲道祐樹「隣接する地方公共団体にまたがる迷惑防止条例違反の罪の罪数関係」法律時報 第80巻8号

 保護法益を個人的法益にする点で、現場では使えなさそうですね。

これに対して刑法の場所的適用範囲を処罰条件とする通説的見解からは犯罪地の認識は不要となる。この場合、故意の継続性、一連性がいかにして一罪性を根拠付けるのであろうか。
この間題に答えるには、本件の客観面を再確認しておく必要がある。本件では東京都と神奈川県にまたがる卑わい行為が問題となっているが上述した通り東京都迷惑防止条例中の卑わい行為禁止規定の保護法益と神奈川県迷惑防止条例中の卑わい行為禁止規定の保護法益は、被害者Aの個人の意思および行動の自由として共通である。このような理解からはて被告人の被害者Aに対して卑わい行為をするとの意思決定は'同一法益に対するものであり、規範意識の突破は1回ということになる。したがって、一個の意思決定に基づくとして一罪性を肯定することが可能となろう。このような理解からは、本件について包括一罪を肯定した本判決の結論は妥当なものであると思われる。