原判決が観念的競合説で、原判決を追認したので、理由付けはありません。
まあ、札幌高裁の傾向としては、観念的競合とせざるを得ないところ。
札幌高裁判決速報
○ 判 示 事 項
1 同一の者が犯意を継続して,①児童に,児童ポルノ法2条3項所定の姿態をとらせ,②これを携帯電話内蔵カメラで撮影し,③そのデータをmlniSDカードに保存した場合に,②③の行為のそれぞれが同法7条3項所定の製造行為に当たり,①②③の行為が一体として同項の罪の実行行為となり,包括一罪となるとした事例
2 児童ポルノ法7条3項の罪の訴因の特定につき,包括一罪となる一連の製造行為のうち,最初の製造行為の着手時期・場所を記載すれば,その後の製造行革の時期・場所を記載しなく とも,訴因は特定されているとした事例
その後大阪高裁h19.12.4は単純一罪だと。
この札幌高裁の判示はおかしいですよね。
ともに7条3項の製造罪(姿態とらせて製造)として起訴されている
第1事実(撮影)(姿態要件がある)
第2事実(複製)(姿態要件がない)
が製造罪となるかについて、
「姿態をとらせ」は実行行為・第1と第2は包括一罪であるとして、第2事実は姿態要件不要というわけです。
しかし、包括一罪というからには、第1も第2も独立して製造罪が成立することが大前提であり、第2が構成要件を満たさないのであれば、第2事実について製造罪は成立しないはずです。
「姿態をとらせ」実行行為説を放棄しないと、包括一罪説は採れません。